コラム

世界が見るウクライナ戦争の姿はフェイク? 「戦争PR会社」と「情報戦」の深層

2022年06月25日(土)18時44分

SNS各社は侵攻以前からロシアの工作を警戒

今回、PR会社などが動きながら、ウクライナは見事に、自分たちの言い分を世界に拡散させることに成功している。世界の人たちにリーチするのに欠かせないのが、世界規模で3億3000万人のユーザーを誇るツイッター(買収に合意しているイーロン·マスクはそのうちの多くが偽アカウントだと言っているが)や、ユーザー数20億人以上のフェイスブックなど。ウクライナはこうしたSNSをうまく活用している。

ウクライナは世界規模のSNSを使った情報戦で、圧倒的に賛同や同情を得ている。重要なポイントは、ツイッターやフェイスブックなど世界的SNSは、アメリカ企業だという事実だ。

これら企業は、2016年にドナルド·トランプ大統領が勝利した米大統領選でロシアがフェイクニュースキャンペーンなどを大規模に行なったことへの警戒があり、今回の侵攻以前から、米議会などから、ロシアのSNS工作に適切な対策をするよう強いプレッシャーを受けてきた。それが今回の戦況にも多大なる影響を及ぼしているのである。


ウクライナが戦争PR会社·広告代理店·ロビー企業などの支えで繰り広げている情報戦について、さらに詳しい情報は「スパイチャンネル~山田敏弘」をご覧ください。

プロフィール

山田敏弘

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。クーリエ・ジャポンITメディア・ビジネスオンライン、ニューズウィーク日本版、Forbes JAPANなどのサイトでコラム連載中。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』、『CIAスパイ養成官』、『サイバー戦争の今』、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』、『死体格差 異状死17万人の衝撃』。最新刊は『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』。
twitter.com/yamadajour
YouTube「スパイチャンネル」
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