コラム

日本軍が3000万人を虐殺した!? 櫻井よしこ氏も激怒した本『日本のホロコースト』の作者に直撃した

2024年03月30日(土)18時57分
ブライアン・マーク・リッグ氏『日本のホロコースト』

『日本のホロコースト:第二次世界大戦中の大日本帝国による大量殺戮と強姦の歴史』 @spychannel_yamada/YouTube

<『日本のホロコースト』の著者ブライアン・マーク・リッグ氏にインタビュー。本の内容を批判した櫻井よしこ氏に痛烈な反論を展開した>

2024年3月19日、日本で大変な物議を醸しそうな書籍がアメリカで出版された。その書名も刺激的で、『日本のホロコースト:第二次世界大戦中の大日本帝国による大量殺戮と強姦の歴史』というものだ。

■【動画】「日本がしていたのはナチスと違い、ただの大量殺戮」...『日本のホロコースト』著者インタビュー全編を見る

この書籍は、出版前から批判を浴びていた。日本の有名ジャーナリストである櫻井よしこ氏は、この本の出版が発表された後の2023年12月29日に、Xにこう投稿している。

「第2次大戦まで日本は3000万人を殺害したというとんでもない大嘘を書いた本が3月に出版予定です。『Japan's Holocaust』で、ナチスのユダヤ人大虐殺は600万人、3000万人はなんと5倍です。あまりのでたらめさ。日本政府と日本人全員が徹底的に反論すべきです」

この本を書いたのは、アメリカ人のブライアン・マーク・リッグ氏。アメリカの名門イェール大学で歴史学の学士号を取得、イギリスのケンブリッジ大学の大学院で1997年に修士号を、2002年に博士号を取得している。米海兵隊で士官としての勤務した経験もある元軍人だ。

過去にナチスドイツの研究で著作がある研究者で、2020年に発表された前作『Flamethrower(火炎放射器):硫黄島名誉勲章受章者の米海兵隊員ウッディ・ウィリアムズの物議を醸す名誉賞受賞と日本のホロコースト、そして太平洋戦争』では硫黄島の戦いについてまとめている。

「大日本帝国の犠牲者を否定する偏屈者だ」

筆者も、早くからこの本に興味をもっていた。日本でこの本が出版されると、大炎上するのか、はたまた、歴史書として日本に新たな議論を引き起こすものなのか──。それを知るために、この本を出版したリッグ氏にインタビューを行なった。

インタビューの全編については動画に譲るが、一部紹介したい。筆者がリッグ氏に、日本の保守層が黙ってはいないだろうと聞いた時のやりとりだ。先に紹介した櫻井氏が「でたらめ」と書いた投稿について知ると、リッグ氏はこう答えた。

「はっきり言わせてもらうと、この櫻井という人はバカなのか。彼女はハワイ大学に通っていたということなら、英語を話せる人なので、ワシントンD.C.の国立公文書館に行って、証拠を見てくることをお勧めする」

櫻井氏を「大日本帝国の犠牲者を否定する偏屈者だ」とも呼んだ。さらにリッグ氏は、櫻井氏と対談をしたいと申し出ている。

プロフィール

山田敏弘

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。クーリエ・ジャポンITメディア・ビジネスオンライン、ニューズウィーク日本版、Forbes JAPANなどのサイトでコラム連載中。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』、『CIAスパイ養成官』、『サイバー戦争の今』、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』、『死体格差 異状死17万人の衝撃』。最新刊は『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』。
twitter.com/yamadajour
YouTube「スパイチャンネル」
筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

9月の米卸売在庫、0.5%増 GDPにプラス寄与か

ワールド

タイ首相、議会解散の方針表明 「国民に権力を返還」

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story