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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

イタリアの週末は門限の反逆者たちとの闘争劇、夜間外出禁止令を緩和する見込み

iStock- ViewApart

夜間外出禁止のことをイタリア語ではコプリフォーコ(coprifuoco)という。Copri=覆い、Fuoco=火 直訳すると「火を覆え、火を消せ、火を隠せ」という意味である。

時代は中世、いくつかの都市では、火事を防ぐために、夜間に暖房と照明の両方のためにすべての炎を消すことが課された。そうすることで夜間に延焼してかなりの損害を引き起こす可能性が高い偶発的な火災のリスクを減らす試みがなされていたので、コプリフォーコ(coprifuoco)「火を覆え、火を消せ」という言葉が使われていた。第二次世界大戦の戦時中にもこのコプリフォーコ(coprifuoco)は1946年に再び発令された。外で火を焚いていれば敵にありかが見つかってしまう。空爆の危険性があるので「火を消せ!」のコプリフォーコ(coprifuoco)命令が下された。夜間外出禁止令中にいかなる種類の灯りをつけることを禁止されていた。中世でも戦争中でも違反した場合は、軍または民事規則に従って制裁が適用された。

そして21世紀、特定の地域を保護することを困難にする公序良俗の問題が発生した場合に適用されるコプリフォーコ「夜間外出禁止令」が再び課されている。長年イタリアに在住している筆者も聞き慣れない、初めて聞く言葉だったので、コプリフォーコって何?と、イタリア人に聞いたみた。戦時中に使われていた言葉だと教えてもらった。まさに今も敵は目に見えない新型コロナウイルスであり、戦争真っ只中であるからこのコプリフォーコが復活したという説明を受けた。法令に違反すれば、罰金が課される。制裁金は400ユーロ(約5万3000円相当)である。

ヨーロッパの研究では人々の夜間の移動を制限することは、フェイスマスクのようにRtを13%削減することができると言う。
Rtとは実効再生産数のことで、1人が何人に感染させるかを示す値。Rtが1より大きいと感染が拡大傾向にあり、1未満であると感染が縮小傾向にあることを示す値である。

イタリアでは、Rtの数値ごとに特定のレベルのリスクに対して想定される措置として、モジュール式で規制をかける対策を法令で定めている。
地域を色分けしし、リスクシナリオに対応する3つの領域を特定する。

現在は、レッドゾーン、オレンジゾーン、イエローゾーンの3つが存在する。

Rtが1.25の場合はレッドゾーンとなる。1の場合はオレンジゾーンがトリガーされ、1以下である時にイエローゾーンへとわずかに制限の少ない対策がなされる。


特定のパラメータに基づいてイタリア国立衛生研究所の公式報告書によって認定された地域が、到達したリスク係数と流行曲線の傾向を見て、地域の州知事と協議した後に、保健大臣の命令によって色分けが行われる。
また、技術科学委員会は、住民10万人あたり毎週250件の新規感染例が超えた場合、自動的にレッドゾーンに移動する厳格な措置を講じる必要性を繰り返し述べている。

具体策は地域任せの緊急事態宣言を出す日本の政府のやり方とは少し違う。

イタリアは、具体的な基準作りは政府が行い、自粛判断となる指標の位置づけは保健省が行う。
しかし、地域の経済損失などを考えず、保健省は赤やらオレンジやら、濃いオレンジやらと、コロコロとグラデーションを行ったり来たりして、制御し、知事を筆頭に地域は翻弄される。「今日は一体、私たちは何色なんだ?」という動画がよくSNSで拡散されていた。
ロンバルディア州の知事は、微妙な0,数コマの数値の違いで、ロックダウンを強いられてしまったりするので、よく保健省との間で戦っていた。

「我が地域はRt数値が1なので、オレンジです、レッドゾーンではありません、地域の生産活動を止めないでくれ」などと。また、南イタリアのある州は、そのRt数値を保健省に正しく報告せずデーターを改竄したりなどしていたことも発覚した。データを改竄した職員二人が解雇になった。

政府が作った措置法の内容に加え、地域ごとの具体策というものもある。

州によって条例を作るのである。ロンバルディア州知事もロンバルディア州福祉評議員も元弁護士である。要するに政治家や地域をまとめるトップは、ほぼ皆、法のスペシャリスト専門家であり、抜本的な見直しや解決を国に求めるのではなく州単位で次々に新しい州知事令などの法律を独自に作り出して追加していくのがイタリアのやり方である。

ドラギ新政権に入閣した8人の女性大臣についてを紹介してみたツイートでは、大学大臣のメッサ(医学部卒の核医学専門医師)と機会均等家族大臣のボネッティ(ミラノ大学卒数学大学教授)以外の6人のその他女性大臣は全員法学部を出た弁護士。

フォロワーさん新津隆夫さん@takao212_italia から

政治家の本来の仕事は法律を作ること、日本は官僚が法律を作る(政治家はそれを議会にかけるだけ)、欧米に比べて議員立法が少ないと言われているということを教わった。


まず、国のトップである首相が「大変申し訳ない思いだ」と、緊急事態宣言を発令する状況となったことを謝罪するなど、イタリアでは絶対にあり得ない。


| 夜間外出禁令が始まる門限22時

果たしてその夜間外出禁止令は感染拡大防止になっているのか?

ヨーロッパの研究グループは、ケースの削減に対する閉鎖の影響を計算した。

この調査は、ヨーロッパの7カ国、主要大学のいくつか(オックスフォード、インペリアルカレッジロンドンスクールオブエコノミー、ブリストルだけでなく、コペンハーゲンとエッセン)によって実施された。2020年8月1日から2021年1月9日までの間にオーストリア、チェコ共和国、ドイツ、イングランド、イタリア、オランダ、スイスの7か国で収集されたデータであり、114の分析領域に対応する5,500を超える項目がデータベースが集められた。

各レポートには、手術の開始日と終了日、および毎日の症例と死亡の報告が含まれており、高度な統計モデルでは、介入時のエピデミックの発生率、既存のRT、および特定の禁止事項の導入から効果を得るのに必要な待ち時間が考慮された。

今、イタリアでは夜間外出禁止令について時間の延長についてなどを議論している。エピデミックを制御する上でのこの制限やその他の制限の有用性を詳細に解明できてはおらず不明ではあるが、ヨーロッパの主要な研究センターによってMedRxivに投稿された、タイトル:「Covid-19の第2波に対するヨーロッパでの政府介入の有効性を知る」の計算結果により有効性の結果ランキングが発表された。

その結果は、

都市封鎖ロックダウン
この研究を注意深く分析し、制限の強さを最初に定量化した人物であるイタリアの疫学協会であるフランチェスコ・フォラスティエールは、ロックダウンはかなり効果があり、それは可動性と伝染の可能性を減らしたという。夜間外出禁止令の期間とモダリティに関する決定は、明らかにウイルス循環のレベル、状況、他の措置の範囲、個々の行動に依存しているので、科学的証拠は他のニーズに対応するために誤って伝えられている。

ショップの閉店と事業閉鎖で、ウイルス複製の指標であるRtを35%削減した。

家族以外の人との面会の禁止による影響は非常に大きくRtを26%の削減、最大30%まで削減できた。

マスクと門限
夜間外出禁止令・門限は科学者たちによると公共の場所でのマスクの厳密な使用と夜間外出禁止令は、中程度だが統計的に有意な効果があり、それぞれ、マスク効果で12%削減と夜間外出禁止でRt13%の削減につながり有効性があった。

レストランの閉鎖は、ウイルスの感染に大きな影響を及ぼしているのが飲食をしている時とその蜜空間。レストランを閉めることでRtが12%削減した。

ダンスクラブや生活上あまり必須ではない活動(美容院、美容センター)の閉鎖は、レストランの閉鎖と同じ割合での減少が見られ12%の削減。

動物園、美術館、劇場など、文化的またはその他のイベントの中止
貢献は3%でとどまった。

小学校、中学校・高校と大学の閉鎖で、Rtを7%削減。当然のことながら、Forastiereのコメントによると、学校の閉鎖はコロナウイルスの感染拡大防止という意味においては、あまり大きく貢献した対策ではなく、わずかな役割を果たしたという結果であった。

感染症専門医のマッシモ・ガッリがRai3の「Agorà」にゲストとして出演した時には、この夜間外出禁止令の開始時刻を延長する案には反対であることを説明した。

「夜間外出禁止令は夕方に移動しようとする人の意欲をそぐものです。予防措置の有無にかかわらず、さまざまな地域のリスクレベルによって予防措置を講じられているわけだが、集団を作ってしまえば人々は混ざり合い接触を避けられない。人がたくさん集まればどうしても感染をしてしまうリスクの確率も上がる。1日の生活の中で人が集まってしまうタイミングと場面というものが様々あって蜜を避けられない時もあるかもしれない。まず、通勤や通学の移動時、会社など仕事場または学校の教室など一つの空間に留まっている時、帰宅時に交通機関などを利用時、夕方に出かけ友人らと会う時。  さて、これらの中で1つだけリスクを避けられるものがある、それを犠牲にして行動を控えるとしたら、それがどれなのか、考えてみれば簡単なことだ。理解することはそんなに難しいことではないでしょ。人々との接触を避けるために、犠牲にしなければいけないものは最後の"夕方に出かける行為"、これだけです。あなたがそれについて政治的な論争をしたいのなら、それはまた別の問題ですが・・・」

と皮肉も交えつつ、夜遅くまで野外で蜜を作り集団で騒いでいる時間帯を長引かせることは間違っていると批判した。この感染症専門医のマッシモ・ガッリ医師とは真逆のことを言う教授もいる。
ジェノヴァ大学の感染症の准教授、イタリア抗感染症学会(SITA)の会長であるマッテオ・バセッティ教授は、正反対の考えを持っている。

「人々が夕方から外出して、門限の時間を4時間にしようが3時間にしようが同じことだ。人は人に会っている時間は1時間未満で行っているから。門限を22時のままにするということは、彼らが望んでいたものとは逆の効果しかもたらさない。」

と言い、門限を23時にすることに賛成派である。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のマッシミリアーノ・フェドリーガ知事は、夜間外出禁止令を23時からに延期するように求めている。
カルロ・シビリア次官は、ピエルパオロ・シレリ副大臣とウイルス学者のファブリツィオ・プレグリアスコと同様に、時間を深夜まで延期したいと考えている。

現在一番規制が緩和されいているイエローゾーンでは、ランチとディナーは屋外だけでは行うことができる。

健康担当次官のピエルパオロ・シレリは、コロナウイルス感染拡大防止のための措置の緩和と経済の再開を評価している。
「私たちにはあと数週間の我慢が必要です。屋内でも食事ができるようになり、バーやレストランを再開できるようになるだろう。このままワクチン接種済みの人達の数を増やしていくことで、夜間外出禁止の門限を延期することもできるだろう。私たちはすべての活動の完全な再開に向かっています。」と、15日以内にレストランの完全営業と現在は22時からの夜間外出禁止令を延期することを日曜日のテレビ番組「ドメニカ・イン」の中で語った。

| 経済的影響

もちろん、1時間か2時間、夜間に外出をする人が増えるということは人が移動するだけ経済に大きな影響を与える。これは単なる健康上の問題ではない。
70万社を超える企業を関連付ける貿易、観光、サービス(第三次産業)に従事する企業を代表するイタリアの団体企業ミラノのコンフコンメルチョは、「夜間外出禁止令を23時に延長することで得られる収益は1,860万ユーロ(約24億5600万円に相当)に制限されるのに対し、門限を24時にシフトすると3,360万ユーロ(約44億3800万円相当)を回収できる計算となるので後者の方が経済的にはだいぶ良いと言っている。

レストラン経営者たちは一刻も早く屋内でも営業できるようにして欲しいと願っている。

| 門限の反逆者たちとの闘争と緊張

気の緩み、長引く自粛日数、気温の上昇、正常化への欲求の高まり、これ以上時間を無駄にしたくない飲食業の人達の営業の必要性、そういう人々が門限無視でますます野外に長居している状況となった週末。

イタリア人らは伝統的に夜になると街に繰り出し集会をする。
ミラノのナヴィグリ、ローマのトラステヴェレ、ナポリのウォーターフロントなどは人が集まる地区として有名である。午後10時以降より人はどんどん増え続け、目で見てもその人の圧倒的な蜜は迫力がある。

5月8日土曜日の夜のミラノ、コロンヌディサンロレンツォ地区には、夜間外出が許可された時間22時までという制限時間を過ぎても1000人がそこに残っていた。門限無視でナイトライフを楽しむ酔っ払い達と取締り警官との間で小競り合いがあり、不当な暴力行為があった。
別の地元ミラネーゼが多く集結する地域であるコルソガリバルディでも1500人が残っていた。
飲み物の入ったペットボトルを警察官に投げつけるなどの行為があったという。
ポルタティチネーゼでは4人が負傷し、ローマのティブルティーナ-カザール・ブルチャート地域では、1人が負傷し、1人が逮捕され、9人が罰金を科された。ナポリでは16歳の子供が仲間に刺された。ピサでは2人の少年が、ボトルを地面に投げるなと注意した少年がボトルを投げられ負傷した。

ローマでもトラステヴェレで地元警察と争いがあり、治安状態を回復させるためにボローニャ広場、トラステヴェレ広場、サンロレンツォ広場などの一部の地域が一時的に閉鎖された。

内務省が昨日発表したデータは、注意と罰金の増加を示している。
職務質問された94,031件のうち、1,440件が制裁罰金が科され、3件が検疫違反として報告された。

今イタリアのどの街でも、この微妙な移行段階を管理できておらず、夜遅くまで通りに若者がいて、地域住民から怒りと苦情が警察署に多く寄せられ、市の劣化防止委員会からの不満も爆発しているところである。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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