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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

今一度、第1回ミャンマー世論調査を振り返り国民の意識を確認する

©MOPR(ミャンマー世論調査機構)

おはようございます。
乾季を迎えたミャンマー最大都市ヤンゴンから新町がお送りしております。
今回は昨年11月より2ヶ月かけて行った世論調査についての話しをお伝えしたいと思います。
ついにクーデターから1000日を迎えたミャンマーですが、実際にこの苦難を味わっている国民の意識はどういったものなのか?
年初に集計したものではありますが、そこから今の国民の想いなど推察していけたらと思います。

本題の前にお知らせを一つ。
我々が毎週水曜日に行っているミャンマー言いたい砲台ラヂオ【ヤンゴン放送局】の放送回数が100回を迎えたのを記念して、有料の支援記事を書きました。
我々MC二人がそれぞれミャンマーについてのエッセイを書いております。
支援いただいたモノは番組の発展に役立てたいと思っています。
有料記事ではありますが何と、冒頭たっぷり3000文字以上を無料公開しております。
この機会にぜひともご購読いただければと思います。

1.jpg

それでは本題です。
今からちょうど一年前の2022年11月11日、午前11時11分11秒より
第1回ミャンマー世論調査の募集を開始しました。
ミャンマーの人は特にこの数字が並ぶのを好む傾向があるのでこの日時にしました。
そして2023年1月11日、同じく午前11時11分11秒で調査募集を修了しました。
調査を行うにあたった概要など詳細はこちらの記事を読んでいただけるとわかると思います。

https://note.com/tomoyaan/n/n9384da21828a

更にこの記事で全グラフのデータを公開しています。
合わせてみていただけたら参考になると思います。
よろしくお願いします。

そもそも何故こんな調査を行おうとしたのか?
キッカケは軽い思い付きでした。
クーデター後、軍との膠着状態が続く中で、ミャンマー国民の意見を勝手に代弁するかのような言説が散見されるようになりました。
そのほとんどがさしたるデータも分析も示されたモノでは無かったので最初は気にしなかったのですが、いわゆるミャンマー通と自称する人たちからもそういった本当は国民みんな(こういう方々はみんなとか全員などの言い方をよくされます)こう考えているんだというような言説がインパクトを持って出てきたりしました。

過去のスーチーさんのやり方や真の民主政治を目指す人たちを否定するような意見を沢山のミャンマー国民が思っているというような事はにわかに信じがたい事ではありましたが、それに対抗するデータが見当たらない為、ただ反論するだけでは感情論で片づけられてしまいます。
私はキチンと反論する為にも世論調査をどこかが行っていないか調べました。
日本であれば毎日様々な世論調査がどこかで行われているので簡単に見つかると思っていたのですが、探しても探しても出てきません。

そうこうしている間にもどちらかというと国民側にネガティブな言説はデータが無いままで回っていくようでした。
ならばとミャンマー支援する人たちに世論調査を行ってはどうかなど提案してみたりもしましたが、最終的に先ずは自分でやってみようと思った次第です。

とはいえ、どのようにやっていくべきか勿論初めての事で何もわからなかったのでとりあえず知り合いのミャンマー人に相談してそこから広げていくのが良いのかなと考えました。
しかし、相談したミャンマー人の友人はみんな行う事自体反対しました。
理由は「危険だから」です。
そしてそれは間違い無く「命の危険」の事を指していました。

しばらく色々考えました。
自分でも浅はかだったと思います。
ミャンマー人の友人を巻き込もうとするのは間違いでした。
そもそもこういった調査は身近な人だけでやっても意味がありません。
まだ見ぬミャンマーの人々の声を聞くのが本分だと思い直し、そこからは一気に不特定多数のミャンマー人の意見を取るような方針で進んでいきました。

勿論私一人だけでは無く様々に応援してくれた方が何人もいたおかげでこの調査を行う事ができました。
ざっくりとした数字ですが、この募集自体は広告も使い、約100万人の目に触れたと予想されます。
その上で50問にも及ぶ設問に答えてくれた方が4000人超いらっしゃいました。
勿論謝礼などは一切ありません。

その後、我々の後に続くように世論調査が行われればもっと良かったのですが、残念ながらこの規模で調査が行われたというような話は聞きません。
しかし、であれば尚の事、この第一回ミャンマー世論調査の結果は伝えていかなければいけないと感じています。

特筆すべきは50問という設問の多さもですが、更にその中でも36問の選択式の設問にも自由に意見を書き込めるよう設定した事です。
14問の自由記述の設問と合わせるとその量は膨大です。
残念ながらこのデータは未だに分析が出来ておりません。
全ての設問に記述式で答えてないにしても10万を超える記述の意見があるデータをまとめるには私たちには人的リソースが足りなすぎる状態でした。
いずれどこかのタイミングでこの分析は行いたいと思っています。
研究対象にもなりえると思いますので、もし我こそはと思う方は私の方まで声をかけていただければと思います。

この調査の中でも特に重要な3つのデータを今一度出しておきたいと思います。

14軍の統治について.jpg

16NUG支持について.jpg

17選挙について.jpg

いかがでしょうか?
このデータからは国民の圧倒的多数が軍のクーデターを不当だと思い、国家統一政府NUGを支持し、そしてお為ごかしの選挙は必要ないと言っている事がよくわかると思います。

2020年の選挙結果からこの調査までにクーデターが始まり2年近く経過しても多くの国民の考えが民主化を望まないといういう方向に偏性していっているとは考えられない結果です。
この調査から更に10ヶ月が経った現在、果たして国民の意識が以前よりトーンダウンしていると考えられるでしょうか?

2021年9月のD-DAY宣言も衝撃的ではありましたが、つい先日のクーデターから1000日から開始された軍事作戦もミャンマーの歴史的にみて類をみない特別な事です。
それでいて、私がいるヤンゴンでは未だに大きな戦闘は起こっていません。
これをどう見ていくかが我々外国人には非常に重要なところだと考えます。
私たちが行った調査が全てだとは思いません。
むしろ様々な調査が行われもっとデータが揃う事を望んでいる位です。

「ヤンゴンは平和である」
「その裏で様々な事が起こっていてそれはまやかしである」
私はどの両方とも事実だと思っています。
その上で第一回世論調査のような国民の想いがあるという事を今一度顧みていかないといけないと強く感じます。

色々とうまくいかない事ばかりではあるのですが、どこかで第二回ミャンマー世論調査も行いたいと思っています。
協力してくれる方は随時募集しています。
一緒にミャンマーの人たちに寄り添いその想いを聴きませんか?
そしてそれを世界に伝えていきましょう。

引き続き現場からやれる事をやっていきたいと思います。
どうぞご注目ください。

それでは、また明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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