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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

コロナに負けるな!コロンビアの『コーヒー収穫計画』

Marco VDM-iStock

コロンビアの大部分の地域は今、コーヒー収穫期の真っ只中にあります。
コーヒーは「経済を回すためのモーター」と言われるほど国にとって大切な農産物であり、コロナウイルスの拡散の恐れがあるからといって蔑ろにすることはできません。
コーヒーの収穫には大勢のコーヒーピッカーと呼ばれる期間労働者が必要で、県外や海外からたくさんの労働者がコーヒー生産地に集まります。収穫期のピークには16万人ものコーヒーピッカーが必要とされ、コロナウイルスの感染が懸念されながらもたくさんの人が移動する事を避けることはできません。また、各地から集められたコーヒーピッカーの多くは収穫期間中は農園内に設けられた宿泊施設で生活する為、クラスター感染も心配されます。その為、コロンビアのコーヒー農家を取りまとめるFNCコロンビアコーヒー生産者連合会はコロナウイルス感染拡大を抑える為の「Plan Cosecha(収穫計画)」と呼ばれる対策を講じました。

前代未聞の収穫計画

通常労働者はFNCを通して農園に派遣され、収穫期間中は農園の中で寝泊りをします。給料は摘んだコーヒーチェリーの重さに合わせて現金で支払われ、収穫期間中の土曜日の夜は飲みに出かけた労働者で近隣の村がごった返します。しかし、今年は今まで当たり前だったこれらの労働環境がガラッと変わりました。

まず労働者は人数の制限されたバスで産地まで移動します。到着すると各自治体で登録作業をするのですが、その際体温や感染の症状がないかなどもチェックされ、感染の恐れがある人はその場で隔離されます。農園に派遣された後もFNCが作成した感染防止マニュアルに従って生活しなくてはなりません。マスクは常に着用し、他の労働者との間隔は2m以上を保ち、作業が終わったらブーツや使用した道具をすべて消毒するなどたくさんのルールが定められています。そして大変なのは労働者だけではありません。今までは農園主は狭い部屋に2段ベッドを敷き詰めて労働者に寝泊りさせる事ができましたが、今年はベッドの間を2m以上開けなければいけないという指示がある為、労働者を減らすか部屋数を増やさなければなりません。そして、労働者にウイルスの感染症状が見られた場合すぐに隔離できるよう部屋を確保しておく必要があるのです。更に、こまめに家中を消毒しなければいけないので余計なコストや手間がかかる事は明らかです。

この様にコロナウイルスの影響で、たくさんのルールに従わなければいけない一方、プラスの変化もありました。それは給料の支払い方法の変更です。今までは給料は現金で手渡しされており、農園主や労働者がたくさんの現金を保持しているのは誰の目からみても明らかな為、毎年収穫期には泥棒や強盗などの犯罪が増加していました。現金の手渡しはコロナウイルス感染のリスクもあるため、これを機に銀行振込やアプリなどを使っての送金に切り替えることが推奨され、労働者は休日に出かけた際、必要な金額だけを引き出せるようになったのです。これによって犯罪と感染をダブルで防ぐ事ができるようになりました。

コロナで落ち込むコロンビアの希望の光

FNCの努力と生産者の協力の甲斐あって、これまで農園内での数人の感染者は報告されたものの大きな集団感染は今のところ起きていません。コーヒーはコロンビアの最も大事な産業の一つという事で、政府や警察、軍隊までもが収穫がスムーズにいくようにサポートを行います。今年はコロナウイルスの他にもラニーニャ現象の影響で雨量がとても多く、各地で土砂災害なども相次いで起きているという前代未聞のめちゃくちゃな年でもありますが、収穫の成功という明るいニュースを届けられるよう労働者は今日もコーヒーを摘んでいます。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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