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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

田舎と都会でこんなにも違うパンデミック事情

oonal-iStock

コロンビアでは9月にロックダウンが解除されました。空港も開きレストランも営業再開が許可された為、少しずつですが日常を取り戻しつつあります。しかし未だに新規感染者が毎日6000人から8000人も報告されており、全体の感染者数は10月21日時点で974,139件と世界で7番目に多い数となっています。更に今日21日はコロンビア各地でデモ行進が行われ、『密』な状態が様々な都市で確認されました。また、来たる11月1日には隣国ベネズエラとの国境が開く予定なので、これから大勢のベネズエラ人が国や県をまたいでコロンビア国内を移動することが予測されます。

とはいっても、コロナウイルスのデータに関してはインターネットで調べればいくらでも知る事ができますので、今日は私が実際コロンビア第二の都市であるメデジンと、メデジンから直進距離で37キロ離れた私が住むフレドニアの村に訪れたときの様子をレポートしたいと思います。

 

都市(メデジン)の様子

メデジンはコロンビア第二の都市。コロンビア唯一の電車が走っており、2013年にはウォールストリートジャーナルの世界で最も革新的な都市1位に輝きました。世界中からバックパッカーが集まる街でもあり、観光業が盛んな街でもあります。

メデジンに訪れたのは10月11日。3月にロックダウンしてから7ヶ月ぶりのメデジンでした。

まずカルダスというメデジンの隣町に移動し、そこからバスでメトロの始発駅に向かいます。始発駅からメトロに乗るまでは、みんなマスクをつけている事以外ロックダウンと何も変わらない光景でしたが、メトロに乗っていつもと様子が違う事にすぐ気がつきました。

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筆者撮影

床にソーシャルディスタンスを保つための足跡の絵がたくさん。この日は日曜だったため電車はガラガラでしたが、メデジンの平日の通勤ラッシュは東京の満員電車も目じゃないほど混み合います。今はラッシュ時には入場規制を行っているそうなので、万が一混んでもすし詰め状態は避けられそうですね。

 

さて、半年以上も山に篭っていたので、ちょっと都会の雰囲気を味わいたくてショッピングモールに出かけました。

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最寄り駅を降りたところ。結構人は多め(筆者撮影)

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筆者撮影

モールの入り口には係員が立っており、一人ひとり検温をします。とはいってもセンサーを肘の関節あたりに当てて計ってくれるんですが、これってちゃんと計れているのでしょうか?計ったあと、数値を私に見せてくれるのですが案の定34.5°でした。疑問を感じながらそばにあるアルコールで手を消毒。マットで靴の裏も消毒し、無事入店しました。

 

モール内は休日の買い物を楽しむ人たちでかなり賑わっており、一見いつもと変わりはないようですがよくよく見るといろんな対策が施されていました。

例えばモールにたくさん設置してあるベンチには隣に座る人と距離を置けるように人形が置いてあります。 IMG_20201011_134027.jpg

キャラクターの種類は椅子によって違いました(筆者撮影)

また、トイレと手洗い場もひとつ飛ばしになるように使用禁止のステッカーが貼ってありました。

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筆者撮影

更にほとんどのテナントで入り口を一カ所に制限しており、入店まえに検温とアルコール消毒がマストになっています。前はふらっと立ち寄っていたお店も「検温めんどくさいからいいや」となんだか入りづらくなった気がします。

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筆者撮影
 

お昼ご飯を食べようとフードコートに行きましたが、午後3時を過ぎていたのにも関わらず満席。特に何の制限もされておらず、隣の席との距離も近めだったので、フードコートは避けてカフェでなにか軽く食べることにしました。

 

フードコート内にあったカフェでも特に何の対策もなされておらず、隣の席に座っていた大学生と見られる女の子はパソコンを開いて調べものをしていました。メニューはテーブルに貼ってあるQRコードを読み取るシステムになっています。パンデミック前から導入されていたと思われますが、感染防止には一役かっていますね。

カフェラテとチョコパンを注文し10分程度で運ばれてきました。コーヒーと共に店員さんが持ってきたのはビニール袋。「マスクを保管するのにお使いください」とのことでした。

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筆者撮影
 
 

小腹が満たされたのでメデジンの観光客が集まるポブラドエリアに移動する事に。到着してまずビックリしたのは、人が全然いない事でした。ポブラドといえば外国人が集まるスポット。いつも駅を降りると様々な言語が聞こえてくるインターナショナルなエリアです。こんなに人の少ないポブラド駅は初めて見ました。

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筆者撮影

駅から公園の方向に向かって歩いてみましたが、人通りはまばらで、飲食店の前にウーバーイーツなどのデリバリーのバイクが列をなしていました。この日は日曜だったということも大きいと思いますが、シャッターがしまっている店が多く、前ほどの活気がありません。

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筆者撮影

そしてコロンビアで一番大きいスペイン語学校Toucan Spanish Schoolが看板を降ろしていたのには驚きました。この語学学校はメデジンの他にもボゴタとカルタヘナに学校を持っており、コロンビアで一番人気と言っていい程の語学学校で、日本人も多く通っていました。ウェブサイトを見ると『パンデミックの影響で一時的に学校を閉める』との記載があり、オンラインコースは継続しているようでした。しかし真っ青だった壁は白く塗られ、看板は降ろされ人の気配はありません。私の知り合いのコーヒー農家はこの語学学校と提携して定期的にコーヒーツアーを行っていたので、その農家にとってもこの出来事は大打撃だと思われます。

 

以上メデジンのレポートです。当然ですが外国人が多いエリアはよりダメージが大きく、廃業に追い込まれるビジネスが続出しています。国際線が再開されたとはいってもコロンビアはまだ第一波が終わったばかり。これから二波、三波と感染の波があることが予想されていますが、一体どれだけのビジネスが生き残る事ができるのでしょうか。

 

田舎(フレドニア)の様子

では今度は田舎の村の様子を見てみましょう。フレドニアに初の感染者がでたのは7月でした。交友関係の広いバイクレーサーが事故でなくなり、メデジンからお葬式の為に大量の若者が押し掛けたのが原因でした。

パンデミック中は集落ごとに外出できる人を制限し、買い物に出かけられる人は1家族に1人というルールがあったため、バイクが運転できない私は3ヶ月以上家の敷地からでることができず、とても辛かったです。

ロックダウンが解除されてからというものの、村はいっそう賑やかになりました。解除と同時にコーヒーの収穫期を迎え、コーヒーの産地であるこの村には県外からたくさんの期間労働者が集まっているのです。

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写真中央の女性はマスクをしていません(筆者撮影)

マスクの着用率はメデジンに比べると圧倒的に低く、村の中心から離れるとほとんどの人がマスクをつけていません。

この日は農協にコーヒーを売りに出かけたのですが、以前のような入場制限や検温、アルコール消毒の義務は一切ありません。みんなマスクをつけているだけで、パンデミック前の光景と何ら変わりはありませんでした。

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筆者撮影
 

コーヒーを売ったあとはいつものカフェに寄り道。

カフェドンチューチョは親子二代で経営しているカフェです。父のハビエルと母のアルバはそれぞれコーヒー農園を所有しており、そこで採れたコーヒーをこのカフェで販売しています。

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筆者撮影

コーヒーを淹れてくれるのは息子のアレックス。

せっかくなのでアレックスにインタビューしてみることにしました。

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一粒の実から一杯のコーヒーまで全て彼らの手によって作られています。(筆者撮影)

−パンデミックで運営はどう変わった?

すごく変わったよ。良い方向にね。お店にお客さんが入れなくなってからデリバリーの注文がものすごく増えたんだ。軽食系だけじゃなくてコーヒーもすごく売れるようになったよ。メデジンまで配達を頼まれることもあって、こんな事は今までなかったから驚いてる。収入も増えたから、鉄板を新しく買い替えて貯金もできるようになったよ。

−デリバリーはパンデミック前もやってたの?

やってたけどほとんど注文はなかったよ。

−従業員は何人?

前は家族で全部やっていたけど、最近は忙しくなってきたから彼女と友達に手伝ってもらってる。忙しいからコロナが終わっても働いてもらう事になりそうだね。

−最近お父さんとお母さんはお店に来てないね

友達が手伝ってくれてるから、彼らは農園の仕事に集中できるようになったと喜んでるよ。農園に親戚みんな集まることが増えて、パンデミックのお陰で家族の絆が深まった感じ。先週末もみんなでバーベキューしたんだ。

−じゃあ今回のパンデミックはアレックスにとってプラスだったんだね

おかげさまで僕たちにとってはプラスのことしかないよ。あと、実は来年パパになるんだ。双子なんだよ。ダブルで嬉しいことが起こって幸せだよ。

********

フレドニアには元々観光客はほとんど来ません。その為パンデミックで人々の動きが止まっても彼らには大きな影響はなかったようです。それどころかたくさんの人がSNSなどを通してデリバリーをやっているお店を検索することによって、村の中だけでなく外に住んでいる人にも彼らの存在が周知され売り上げが伸びたというのは驚きでした。

まだ第一波が終わったばかりのコロンビア。時期は定かでないにしろ今後第二波、第三波が起こる事は確実と言われています。政府からの手厚い保障なども特にない中で生き残っていく為には、ビジネスのあり方を状況に合わせて柔軟に変化させていく必要性があると強く感じました。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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