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トルコから贈る千夜一夜物語

木村菜穂子|トルコ

トルコ全土でラマダン(断食月)と全面ロックダウンが粛々と進行中

トルコ全土の感染者の状況

全世界のイスラム教徒にとってラマダン(断食月)はとてもスペシャルなイベントです。トルコでもこのラマダンが粛々と進行中。でもトルコの今年のラマダンはいつもとかなり違います。

通常のラマダンとは?

通常、ラマダンといえば家族・親族・友達が夜な夜な集まって、大人数で食べたり飲んだり語らったり...。1か月間の断食って辛いのでは? と思われる方も多いかもしれませんが、実はラマダンはお祭り的な感覚です。確かに日中は飲み食いできませんが、日没後から明け方にかけて食べよ飲めよの大騒ぎ。そして日中は眠る生活 (働いている人はもちろん日中に寝てはいられませんが)。ですからラマダン中に太るイスラム教徒も多いです。

iStock-1212750583.jpg

ラマダン-iStock

そしてラマダン後の大型休暇はちょうど日本のお盆やお正月休暇のような扱いで、家族・親族団らんのために実家に帰省する人も数多い。ラマダンと大型休暇の時期はレストランやカフェの書き入れ時でもありますし、1年のうちで多分最も消費が多い月。

トルコの全面的なロックダウンの全体像

トルコでは、今年のラマダンにはかなりの規制が敷かれています。ラマダンが始まったのは4月13日ですが、トルコでは4月29日から全面ロックダウンとなりました。このロックダウンは5月17日まで続きます。つまりラマダン明けの大型休暇が終わるまでロックダウン。イスラム教徒にとっては少し残念なラマダンとなっております。それに伴い、経済的な打撃も甚だしい。

その内容ですが、生活に影響がある分野をざっと挙げるとこんな感じ。

►不要不急の外出は禁止。徒歩で家から一番近いスーパーでの買い出しのみOK (買い出しに車の利用は禁止)。

►日用品や食料品を扱うスーパーは10時から17時までの営業が可能。ただし日曜日は全面的に休業。

►都市間の移動は特別な理由がない限り禁止。近親者の葬儀など特別の理由がある場合は、許可を申請し、許可証がある場合のみ移動が可能。

►近場での買い物以外の理由で外出する場合 (特に車を使う場合) は、許可証の取得・提示が必要。

►レストランやカフェは配達サービスのみ可能。

►医師の診断書や病院の予約がある場合は、外出が可能。

あくまでざっとしか挙げていません。もっと細かい規則がありますが、まぁ端的にいえば「大人しくステイホームしなさい」ということです。かなり多くの職種が休業となっています。そして違反者には容赦なく罰金が科せられます。その金額は違反の種類にもよるようですが、1回あたり 900TL (現在のレートで112ドル程) と言われています。

先日、ロックダウンが始まった翌日に私は歯医者の予約があったので外出したのですが、主要な道路では警察が車を一台一台止めて、許可証を持っているかどうかを検問していました! すごい徹底ぶり...。私は徒歩で片道30-40分ほどの距離なら平気で歩いてしまうので、けっこう遠くまで行けるのですが...徒歩で歩いている分には警察に止められることはありません。それでも午後17時頃には家に戻らないといけないので、けっこう束縛感はあります。ロックダウン前は17時から公園に出かけてスポーツをする毎日でしたので...。

なぜここまで厳しいロックダウンになったのか?

ここまでトルコが厳しい措置に踏み切ったのには訳があります。いったんは改善していた感染状況が悪化の一途をたどっていたため。2021年5月6日の1日当たりの感染者は2万2千人ほどです。この数、つい2週間ほど前には6万人でした。6万人から2万人に減ったので状況はよくなってきていますが、それでも1日当たり2万人って相当高い数字ですよね~。そしてロックダウンをしてもなおこの数字なのですから。

下の絵は、トルコ全土での感染状況を色分けしたものです。赤が「感染者が非常に多い」エリア、オレンジが「感染者が多い」エリア、黄色が「感染者が普通」のエリア、青が「感染者が少ない」エリアです。4月頃から感染者がぐんぐん増えて、トルコのほぼ全土が赤に染まってしまいました。私が住んでいるトルコ南部の都市もこの赤のエリアに含まれています。

トルコ全土の感染状況.JPG
トルコ保健省の公式ホームページから

ロックダウンはツーリストには適用されない?

ところでこの一連の外出規制は、ツーリストには当てはまりません。実はトルコは現在でもツーリストを受け入れているのです。他の国々が鎖国状態に陥っていた昨年もトルコはツーリストをずっと受け入れていました。ですから今回のロックダウンは至極当然の結末だとぼやく人もいます。いずれにしてもこのロックダウンはツーリストには適用されません。自由に都市間を行き来できますし、観光もできます。とはいえ、ほとんどのお店が閉まっている状況ですから...外出制限は適用されないとはいえ、外にいても何もすることがないという状況に直面するわけですが。

さてトルコに長期的に (3か月以上) 住む外国人には「滞在許可証」なるものが与えられます。トルコ語ではイカメットと呼ばれます。このカードを保持している外国人は、ツーリストではありません。ですから、トルコ人と同じ規制が当てはまります。中には、イカメットを提示せずにパスポートだけを見せてツーリストのフリをしたらいい...なんて考えて、実際にそんな風に行動していた外国人もいるようです。でもトルコ政府だってそんなことはお見通し。こういうふてぶてしい (?) 外国人にはきちんと罰則が準備されています。罰金は 3150TL (現在のレートで400ドルほど) になる場合もあり、一番最悪のケースとしてはイカメットが没収されます。トルコ政府も本気ですよ!

腹をくくってロックダウンを楽しむ!

ですから、逃れ道を見つけようとするより「郷に入りては郷に従え」なのです。もちろん私も真面目にロックダウンの規制に従っております。いずれにしても、外出はできますので閉塞感はありません。あっちのお店に行ったり、こっちのお店に行ったりと毎日1時間くらいは外をうろうろできます。とはいえ、パトロールをしている警察に出くわすとなぜかドキッとする私。警察に職務質問されるって、やっぱり緊張しますしね。ま、こちらが悪いことさえしていなければ彼らはとてもフレンドリーなのですが。

全面的なロックダウンが始まって1週間ほど...。でもなぜか永久に続いているような気分になります。あと10日! トルコ人と一緒に乗り切りたいと思います。

 

Profile

著者プロフィール
木村菜穂子

中東在住歴13年目のツアーコンサルタント/コーディネーター。ヨルダン・レバノンに7年間、ドイツに1年半滞在した後、現在はトルコ在住4年目。メインはシリア難民に関わる活動で、中東で習得したアラビア語(Levantine Arabic)を駆使しながらトルコに住むシリア難民と関わる日々。

公式HP:https://picturesque-jordan.com

ブログ:月の砂漠―ヨルダンからA Wanderer in Wonderland-大和撫子の中東放浪記

Eメール:naoko_kimura[at]picturesque-jordan.com

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