World Voice

イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

イタリア右派の勝利・メローニ政権発足に移民・異教徒・同性愛者などへの差別・偏見助長を危惧

引用元: https://stranieriinitalia.it/attualita/giorgia-meloni-e-la-proposta-di-prendere-gli-immigrati-in-venezuela-video/

 わたしは以前から、万一右派が政権を握った場合には、移民や、異なる宗教を信仰する人や同性愛者などへの差別や偏見が助長されてしまうのではないかと心配していました。

 9月25日に行われたイタリアの総選挙で、上院・下院ともに右派連合が過半数を獲得し、イタリア初の女性首相となったジョルジョ・メローニの政治思想や傾向は、彼女が一度ならず口にしている、次の言葉に端的に表れているように思います。

「移民が必要ですって。それなら、ベネズエラから呼び寄せましょうよ。キリスト教徒で、イタリアからの移民やその子孫である場合が多いし、国では、何百万人もの人が飢餓に苦しんでいると聞いていますから。」

 右派は、移民や難民、そしてそうした人々がイタリア国内で犯す犯罪が特に増えていたわけでもないときに、あえて難民の増加やその犯罪に焦点を当てて、国民の不安をかき立て、その解決として移民排斥をスローガンに掲げて支持を増やしてきました。

 イタリアでは、同性愛者に対する差別は特に若者の間に多いとのことで、LGBTの人々に対する暴力や虐待の42%が家庭で行われ、主な被害者は若者で、特に13歳から29歳にかけての年齢層である場合が多いということで、現在でさえ深刻な状況であるため、今後が心配です。

 そういう社会背景を考慮し、より差別のない社会へと視聴者を啓発していく意図があってのことでしょう、先日Rai1で放映されたドラマ、『Mina Settembre 2』では、生物学的性は女でありながら、生まれたときから自分は男だと感じ、異性として好意を抱く相手が女性であるがために、両親からも好きになった女子高生からも差別を受け、その相手の兄たちから暴力さえ受けて苦しむ高校生と、主人公たちの力添えで、両親が性的少数者である子供を受け入れ、支えていくようになる様子が描かれていました。

 組閣されたばかりのメローニ政権について、すでに「LGBTコミュニティとその権利の拡大に対して、かつてないほど反対の立場を取る政府」とさえ見出しに掲げる記事もあり、皆が平等に権利を行使できるように働くべき機会均等大臣に、LGTBの権利や女性の中絶権に強硬に反対してきた女性が指名されたことなどが、問題となっています。

スクリーンショット 2022-10-25 15.41.09.png

 幸い、首相や与党である右派ばかりが政治を行うわけではなく、マッタレッラ大統領や左派の多くは、違いを豊かさととらえ、差別・偏見を解消していこうという姿勢を明らかにし、常々国民にも呼びかけているため、右派や首相が暴走することなく、今後イタリアで異なる出身や宗教、性的指向であるなどという理由のために、差別や偏見、暴力に苦しむ人が増えることのないように願っています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ