World Voice

イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

イタリアとウンブリアの感染状況 今や新規感染100%がオミクロン株、秋にはケンタウロス型が主流となるか

3年ぶりの開催でにぎわうトラジメーノ湖畔の村祭り photo: Naoko Ishii 2022/8/20

感染状況と全国での3年ぶりのイベント開催、マスク着用は少数派に

 イタリアでは今日、8月31日、新たに確認された感染者数が21,817人、現在の感染者数が645,933人です。症状がある入院患者数が5,091人、集中治療室入院患者数が213人で、死者数は90人でした。全体的に減少傾向にはあるものの、感染者数は相変わらず多く、まだ十分な注意が必要だとわたし自身は感じています。

 今年の夏は、イタリア全国でも、わたしが住むウンブリア州でも、感染下にあったため昨年までは中止されていた恒例の村祭りなどが次々に開催され、旅行客も大勢訪れていました。地域や店がにぎわい、祭りや観光、交流を再び楽しめるようになったのは、うれしいことなのですが、一方では、どの祭りやコンサートなどでも、屋外であるとは言え、大勢がひしめき合っているというのに、マスクをしている人がほとんどいない状況なので、困惑しました。

 去年までは十分に用心していた友人たちでさえ、今年は、「大勢で会おう、マスクはもう必要ない」という風で、わたし一人がマスク装着ということが多く、肩身の狭い思いをするほどです。

スクリーンショット 2022-08-31 22.42.29.png

 「ウンブリアでは、感染が減少してきているんだよね」と皆は言うのですが、それは昨年末以来、ウンブリア州では感染者が激増し、2月末には減少しつつあった感染者数が、3月に入って再上昇し、これまでの感染者数が異常に多かったのが、ようやく減少し始めたように見えるというだけのことです。

coronavirus_20220831_5.png

 そうして、確かに今では、住民10万人あたりの現在の感染者数が、イタリア全国や他州と比べて低い方にはなってきているのですが、この数か月間に、州でも全国でも感染者数があまりにも増えたために、数に鈍感になっているように思います。

今はオミクロン株 BA.5が9割、秋にケンタウロス型が感染の波を起こす恐れ

 けれども、8月12日付のイタリア高等衛生研究所(ISS)の発表によると、8月2日の時点で、イタリアでは新規感染の100%がオミクロン株となり、うちBA.5が90.8% 、BA.4が6.7%を占めると推定されるとのことです。

 さらに、8月26日付のIlMessagero.itの記事によると、インドで5月に存在が確認され、オミクロン株BA.5よりも、さらに感染力が強い上に、危険性が高いとされるケンタウロスと呼ばれるオミクロン株派生型、BA.2.75が、イタリアでも7月29日にサルデーニャで初めて確認されていて、今後、イタリアでも主流となり、秋の感染の波を起こす可能性があるとのことです。 

 ですから、今のように、屋外とは言え、大勢が屋外でマスクなしに集まったり、また、友人どうし、家族どうしでマスクなしに食事を共にしたり、おしゃべりをしたりという状況が続けば、誰か一人でも感染者がいると、再び感染が急増する恐れがあります。

coronavirus_20220831_1.png

引用元: https://coronavirus.gimbe.org

 そして、帰省や旅行で感染者の多い地域にいた人が、他地域に戻ることによって、また学校や大学が始まることによって、今は感染増加率も感染者数も少ない地域でも、感染が増えてくる恐れがあります。

 というわけで、様々な場所で規制が緩和されている状況ではありますが、まずは自分がしっかりと気をつけて、マスクをつけたり手の消毒をしたりしていくことの大切さを痛感しています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ