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カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

アメリカの職場のお局事情

itakayuki-iStock.

世界の皆様新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。私の今年の抱負は

「楽しく明るく健康に」と小学校の低学年の今月の目標の標語のような感じですが、ワクチン接種までもう一息頑張りたい次第です。

新年早々アメリカ合衆国は国としての品格を落としていますが、もうなるようにしかならないのか、と思って傍観しています。溜まった膿を出し切らないといけない時期なのだろうな。ともう腹が立つというよりも諦めの傍観です。

さて私も勤続19年目になりめでたく中堅書記官になりました。新人教育もしましたし、偉い人に見せるための書類作りにも参加しました。

書記官は大半が女性です。女性が三人集まれば始まるお局事情を今日はご紹介しようと思います。

書記官にもランクがあり、そのランクは公なものではなく、無言の了解のような昔から続くしきたりのようなものです。私の勤める裁判所はなんでも年功序列なので、大半のお局度はこの年功序列からきます。

裁判所は毎年新入社員を採用するわけではないので、あまり同期、という概念がありません。欠員が出ればその時採用する、という感じなので、同期という横の繋がりは皆無と言っていいと思います。

上下関係ができるのはこの年功序列制です。かなり年上の同僚でも裁判所勤務年数が少なければ私よりも格付けは下になる、という単純明解なシステムです。

その年功序列に加え、書記官は自分の付いている裁判官の格付けも関係してきます。

自分の付いている裁判官が偉ければ偉いほどその書記官も廊下を肩で風を切って歩けるのです。

私も付いていた裁判官が民事の裁判長だった年は廊下をブイブイ言っていって歩いたものです。

地元紙に叩かれるような評判の悪い裁判官だと書記官は廊下を下を向いて歩かないとなのです。

あの子の裁判官OO裁判官なのよ。え?あの新聞で叩かれてた人?と廊下でヒソヒソられてしまうのです。

新聞で叩かれなくても事務官達に評判が悪い裁判官についているとやはり肩身が狭いので、たまに裁判官からの差し入れです、と金曜の朝にドーナツ一箱を持って裁判官の代わりに好感度を保つ努力をするのも書記官の影の役目なのです。

そしてシニア書記官になると大抵労働組合から声がかかり、赤旗を振る役目を任されます。私は正直労働組合はそんなに好きではないので断固辞退しようともうそのスタンスを公表しているので声がかかる事はないと思います。

事務官がオフィスでみんな顔を付き合えわせて一日中仕事をしているのに比べると私達書記官は1人で法廷にいるので、あまり職場でのいじめというのも起きにくいです。なにせ顔を合わせる機会が少ないので。

私は仲良くしている数人とランチに私の法廷の陪審員室に集まってランチを食べて噂話をするのですが、それもコロナで裁判所内での飲食厳禁というお達しが出たので、今は休止中です。

日本に比べれば風通しのいい職場だとは思います。私はアメリカでは日系の会社のアメリカ支社で少し働いた事があるだけで、アメリカの普通の会社がどんな感じなのかは知りませんが、私の勤める裁判所ではこんな感じです。

ちなみに私が働いていた日本の大手企業のアメリカ支社はとんでもなく風通しの悪い会社で私は使い勝手のいい現地採用という立場でしかなかったので、使い捨てにされるのは御免とすぐに辞めました。日本から来る英語もまともにできない社員の尻拭い役でしかも現地採用と何故か上から目線で使われたので、これは御免だとすぐに転職しました。わざわざアメリカに移住してまで日本の会社風の吹く所で働く事ないですからね。

近年新しく着任してくる裁判官がもっぱら女性という事を受けて、男性の書記官も増えてきました。今までは裁判官といったら男性だったので、自然に書記官も女性、という感じでしたが、この頃はその風向きも変わってきました。これから男性書記官が増えて、どんなお局具合になってくるのか少し楽しみにしているところです。

 

Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

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