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ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情

ひきりん|ベルギー

ローマ教皇、同性カップルのシビルユニオン支持を表明

シビルユニオンには一貫して賛成の立場。今後期待される波及効果

バチカンのローマ教皇即位前、故国アルゼンチンのブエノスアイレス大司教在任中、フランシスコは同性婚の代わりとしてシビルユニオンを認める立場を示したことがあったとされる。それはアルゼンチンが同性婚を合法化する為の議論が沸き起こった際、フランシスコは、同性婚には反対の立場を鮮明にし、その代替としてシビルユニオンへは支持したとされる。結局2010年にアルゼンチンは世界で10番目、中南米で初の同性婚を導入した国となった。

フランシスコ教皇は2013年の即位以降、歴代の教皇達とは立場を異にし、LGBTコミュニティに対してずっと寄り添う姿勢を示してきた。

「もし同性愛の人が主を求めていて、善意の持ち主であるならば、私に裁く資格があるだろうか。彼らを排除すべきではない。(同性愛の)傾向は問題ではない。彼らは私たちの兄弟だ」

今回ローマ教皇として公の場で同性カップルの法的関係支持を表明したことで、その姿勢は更に一歩踏み込んだことになる。しかし、同時にこれまで一貫して同性婚には反対してきており、婚姻は男女間に限定されるべきだとも述べている。カトリック教会内では同性愛に関する見解は未だに非常にデリケートな問題とされ、保守層からの反対や世界中の教会の分裂を恐れて、教皇も今回のような発言には慎重であった。

昨年11月、フランシスコ教皇は、ローマ法王(教皇)として1981年のヨハネ・パウロ2世以来38年ぶりに日本を訪問して大きな話題となった。庶民派でも知られ絶大な人気を誇り「スーパー教皇」との異名をもつフランシスコは、ツイッター @chuokyo_pope も使い、弱者目線からのメッセージを発信している。コロナ前は、最大でおよそ5万人が世界中から集まるとされる毎週日曜日のバチカンのミサ。サン・ピエトロ大聖堂前の広場では大型モニターが設置され、厳粛なミサが終わり大聖堂の窓から姿を見せると、まるで野外コンサートのような熱狂が広がるという。


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現在はシビルユニオンや同性婚が導入済みの西ヨーロッパやアメリカ大陸諸国の中にも、敬虔なクリスチャンの中には宗教上の理由によりカミングアウト出来ない同性愛者たちがまだ多く居る。また、伝統的なカトリック教会の教えによりシビルユニオンに対しても導入に否定的な考えの国もまだ多い。

世界的に多大な影響力のあるローマ教皇の今回の発言が、日本を含め、今後我々同性愛者にとって社会的に平等な権利を保障する動きを後押し、加速する一助になることを、当事者の一人として期待したい。


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*LGBTは知っているけれども LGBTQI って何?と仰る方は、下記記事の最後に詳しく説明しているので
併せてお読み下さいませ。

コロナ禍でゲイタウンもひっそりと
同性婚導入17年経過のベルギー、新婚の40組に1組は同性同士

 

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著者プロフィール
ひきりん

ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。

ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記 

Twitter:@hiquirin

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