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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

タップダンサーとしてNYジョイス・シアターに出演決定!中川恵美子

©Emiko Nakagawa

タップダンスを始めたきっかけを教えてください。

「NHKの子供番組で踊っているキッズダンサーが大好きで、テレビの前で真似て踊っていました。その姿をみて、ダンスが好きなのだろうと両親が考えて、出演していたキッズダンサーの所属事務所を父が調べてくれたのがきっかけです。そのスタジオへは4歳から習いに通いはじめました。

1年目は幼児のジャズダンスのクラスでした。先生も優しくて、ダンスを楽しみましょうというスタイルでした。6歳のときに、スタジオの先生からジャズとタップがセットになっているクラスを勧められて、はじめてタップを始めました。そこで子供ながらタップの魅力にはまってしまいました。」

ジャズとタップだとどっちが難しいのですか?     

「まだ小さかったので、見様見真似でやっていましたので、どちらが難しいという感覚はなかったです。

小学生になると、クラスが厳しくなりました。ここのスタジオは、芸能プロダクションも兼ねていて、まわりにはテレビや舞台の仕事をしている子供たちがたくさんいたこともあって、ダンスだけじゃなくしつけにも厳しかったのです。同じ先生とは思えないくらいでしたね。

たとえば振り覚えが遅いと、早く覚えるように注意されます。踊っているときの表情も、笑う時は笑うように、ダンスに感情をこめるようにと指導されます。当時はうまくできなくてつらいこともたくさんあったかな。そのスタジオには約20年お世話になっていたのですが、今では、ここで厳しく指導されてよかったって思います。最後の数年間はインストラクターもやらせてもらいました。」 

厳しくされたことがよかったとは、珍しいですね。どういった点でよかったのでしょうか。

「たとえば、レッスン中に座らない、携帯を触らない、おしゃべりしないとか、そういったダンスの世界以外でも通じるマナーやルールが自然と身につきました。大きくなって舞台に立つときや、ワークショップに参加するときに、そうした礼儀がすごく役に立っていると実感します。

特に振り覚えに関してはいつも注意されていたので、いつの間にか早く覚えられるようになり、私の特技の一つでもあります。プロとして場数を踏んでいる子供たちが周りに多かったので、その中で鍛えられたことがよかったです。」

厳しい指導の中で、ダンスをやめたいと思ったことはないのですか?

「やめたいと思ったことはありません。」

NYにきたきっかけを教えてください。

「中学生になってから父と何度かNYに来る機会があり、いつのまにかNYが大好きになりました。来るたびにタップダンスのレッスンを受けていました。憧れのタップダンサーであるジャレッド・グライムス(Jared Grimes)もNYで教えていらっしゃって、13歳の夏、彼のクラスを初めて受けました。楽しくて、感動して、けれど悔しくて。あの時感じた興奮は今でも思い出します。そして、大学を卒業したら絶対にNYに行くと決めていました。

2021年9月から2023年3月までNYへBDC(ブロードウェー・ダンス・センター)のプログラム生で来ていました。卒業後にOPTを取得して、現在はBDCでインストラクターの代行をやらせていただいています。今後は、カンパニーに所属して、ショーやツアーにも参加する予定です。この冬には、ジョイスシアターで行われる舞台への出演が決まっています。」                

日本で既にインストラクターをやっていたので、BDCでインストラクターもやりやすかったのでは?

「はい、毎回緊張はしますが、教えるのは大好きなので、NYでもすんなり始められました。日本とアメリカとで国は違っても、タップをうまくなりたいという人と時間を共有できることは本当に幸せなことです。

踊ること自体が好きなので、ショーにももっとでたいと思っています。所属しているDorrance Danceカンパニーではアンダースタディーで、トレーニング生みたいな感じですが、いずれ舞台に出られるチャンスをいただけるようがんばります。」

プライベートはどのように過ごしていますか?

「東京出身なのですが、NYでのアーバンライフを楽しんでいます。いつもビジーな感じが特に好きです。私は、自然がいっぱい、というよりもテクノロジーに満ちている街が好きです。」

タップの板ってどうしているのかな~って、いつも思っていたのですが。タップダンサーが自分でステージに持ち込むのですか?         

「自分で準備することもありますし、レンタルすることもあります。靴も、日本に置いてきているのもあわせると7足持っています。一回購入したら、かなり長く使い続けるので、メンテナンスは欠かせません。今履いている黒のもっともノーマルな靴は、中学1年生のころから履いているで、13年は使っています。

タップシューズは、裏に貼っているタップスが傷ついたり減ったりすると音に影響がでるので、レッスンが終わったあと、どんなに疲れていても必ずメンテナンスします。」  

恵美子さんのタップダンサーとして売りみたいなのはありますか? 

「私はタップの音にこだわりがあります。きれいな音、クリアな音、そして誰が聞いても"快感"に感じてくださるような音を心掛けています。タップは力の抜き方とか、体重を置く位置によって音が変わってきますし、リズムも大事です。小さいころからレジェンドといわれる日本やアメリカの素晴らしいタップダンサーに教えていただき、その音をたくさん聞いてきたことが、今の私のタップの音につながっていると思います。

タップダンスだけでなく、ジャズやヒップホップなどのストリートスタイルのダンスも20年以上続けています。それらのダンスを融合させた、足だけではない力強いコリオグラフィーができることが強みかなと思っています。」               

これからの目標は?

「まずはアーティストビザをとって、カンパニーの正式メンバーとして活躍すること。そしてBDCでクラスを持たせていただき、数多くのダンサーがタップにも興味を持ってくれて受けに来てくれるレッスンをすること。

タップダンサーはジャズやストリートスタイルのダンサーに比べてまだまだ少ないので、まずは生徒を増やして、ショーもクラスもSold Outにもっていきたいです。これらが、今の一番近い目標です」

Emiko1.jpg
©NY1page.com LLC

【プロフィール】
中川恵美子(なかがわえみこ)
1997年生まれ。現在、NYに拠点をおき幅広い分野で活動するプロのタップダンスアーティスト。4歳から、ジャズダンス、タップダンス、ストリート ダンスを、蔦美代子女史とSEIYU 氏に師事。8歳からみすみSmilieゆきこ女史に師事しダンス歴20年を超える。2009年から2017年まで毎年KAWASAKI TAP FESTIVALに出場し、通算で6冠を獲得。2017年にはチャンピオンにも輝いた。2012年、ロンドンオリンピックの記念イベントの日本代表ダンサー。2014年、JTSP(Japan Tap Dance Scholarship Program)の第8期生に選ばれ、シカゴタップフェスティバルに日本人奨学生として参加。2017年NYで行われた " The Big Apple Tap Festival" に出演。国際タップダンスコンテストにも数多く参加し優勝を飾る。2021年、Broadway Dance CenterにITP(Independent Training Program)の学生として入学。18か月間のプログラム期間中、合計1000以上の様々なジャンルのダンストレーニングを受け、2022年Outstanding Student Award(優秀学生賞)受賞。卒業後 NY Tap Ensembleのメンバーに選出。2023年12月にThe Joyce Theaterのショーに出演予定。ダンサーとしてだけでなく、現在Broadway Dance Centerで、代講/アシスタントや通訳も担当。

【関連リンク】
 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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