コラム

バイデン政権の復古的中道主義は可能か

2021年01月12日(火)14時00分

党内の分裂が深刻化する共和党

一方、共和党側は連邦議事堂乱入事件で追った傷、特に内部における深刻な分裂から回復することが極めて難しいとなっている。元々共和党内では主流派と保守派の対立が存在していたが、今回の事件で保守派内からトランピストが明確に切り分けられることになり、それら勢力争いが三つ巴の様相を呈することになる見通しだ。

上院ではテッド・クルーズvsミッチー・マッコーネル院内総務、下院ではNo.1のマッカーシー及びNo.2のスカリスvs No.3のチェイニー、でバイデン議会承認の是非で激しい意見のぶつかり合いが生じた。共和党内では依然としてトランプ大統領の支持が約過半数を占める状態にあり、今後トランプ大統領のイメージを引き継ぐ人物が現れると党内の分裂は更に深刻化していくことになる。

2020年大統領選挙・連邦議会議員選挙では、主にトランプ大統領の人格が災いして大統領選挙では敗北したものの、共和党自身は上下連邦議会議員選挙で底堅い力を見せた。そのため、民主党に劣後していたオンライン小口献金システムが本格稼働することで、2022年の下院過半数奪取に現実味があったものの、上記の乱入事件の余波でその勝利見通しが不透明になっている。当面の間、共和党議員らは対バイデンよりも党内の路線闘争に力を割かざるを得ないだろう。

増税と規制強化政策で景気が腰折れすると......

バイデン政権を取り巻く政治的環境は、連邦議会の微妙なバランスと共和党側のミスによる敵失によって、復古的中道主義を選択することが短期的に可能な状況となっている。しかし、その中道路線は民主党左派の影響力拡大と共和党側の立て直しが起き始めると、直ぐに茨の道と化すことになるだろう。特に民主党の増税と規制強化政策で景気が腰折れした後、バイデン政権が左右からの政治的圧力の強まりに抗することは難しく、米国政治は未曽有の大混乱に陥ることは十分に想定できる。

分断の時代に復古的中道主義は実現困難な政治的夢想なのか、その政治的結末は2022年の中間選挙までに分かることになるだろう。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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