コラム

3密回避? 大丈夫、日本には自動販売機がある!

2020年05月28日(木)16時50分

robbin0919-iStock.

<接触を避けるべきとされる今、日本の誇る「無人機械インフラ」は見直されていい。この国には、天ぷらうどんが買える自販機だってあるのだから>

緊急事態宣言が解除された今、国民が注意深く次の一歩を踏み出そうとしている――都道府県知事たちが見守る中。筆者も同様、どうにかしてこの仙人のような生活を止めたいところだ!

でも日本は、新規感染者数がゼロに近いところまで下がったギリシャやアイスランド、ジャマイカなど(5月27日現在)とちょっと違う現状にあるので、まだ慎重さが欠かせない。

比較的効率よく拡散を抑え込めたドイツだって、学校再開のタイミングで実効再生産数が節目の1をまた上回った。また、お隣の韓国でも、再び感染の急増が生じた。日本も、第二の波について考える前に、第一の波が長引くことをまず心配しなくてはならない。

よく考えたら、日本には巣ごもり自炊生活からのちょうどいい脱出方法がある。その名は、自動販売機。日本は数に関しても、売り上げに関しても、世界一。自動精算機などを入れると400万台以上の自動販売機があり、4兆7000億円以上の売り上げを立てている(2016年、日本自動販売機工業会発表)。

確かに、ここ数年はコンビニとの競合によって販売が圧迫されてきており、今年、外出自粛が広がったことで全体的に需要が落ち込んでいる。

しかし、他人との接触を避けるべきと言われる今、こういった無人機械は大いに注目されるべきだと思う。なんせ飲食店と違って、スタッフいらずの空間なので、「3密回避」とは相性がいい。利用者はほかの客との距離だけに気を付けていればいい。

とはいえ、外食手段として考えると、自動販売機はなかなか孤独だ。だから、ちょっと使い方を考えたい。

まず、一人で買いに行くのではなく、「コロナポッド(corona pod)」を作ってからにしよう。「コロナポッド」とは、いま話題になっている小さな仲間のグループ。「コロナウイルスに感染していない、あるいは感染していてもそれが周りへ伝染らないよう、自分と同じようにこまめに気を付けている」人たちのことだ。

筆者は、いま住んでいる界隈にちょうどそういう信頼できる良い隣人がいるので、その彼らを誘うことにする。

ただ、いくら仲のいい友達とはいえ、ジュース、コーヒー、ビール、水などを売っている、ごく普通な自動販売機まで足を運ぶ企画には頭を縦に振ってくれないだろう。だから、行き先をひと味違う機械にしたほうがいい。

プロフィール

トニー・ラズロ

ベストセラーとなったコミックエッセイ『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ、メディアファクトリー)の主人公。1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動する。著書に『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し』『英語にあきたら多言語を!――ポリグロットの真実』『手に持って、行こう――ダーリンの手仕事にっぽん』など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

国からの要請に基づき準備と対応進める=防衛費増額で

ワールド

自国第一主義で米独連携を、MAGA派イベントでAf

ワールド

香港民主派メディア創業者に有罪判決、国安法違反で

ワールド

米、ブラジル最高裁判事への制裁解除 前大統領の公判
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story