コラム

生成AIで記事も動画も作れる今の時代に、記者としてすごく悩んでいること

2025年03月29日(土)12時35分
西村カリン(ジャーナリスト)

日本や外国の大手マスコミも主に時間の節約を目的に生成AIを使っているが、私は基本的に反対の立場だ。「大手マスコミの記事のみ学習した生成AIなら問題ない」と言われても、反論する。

それらの記事にも間違いや更新されていない情報はある。生成AIの危険性に対する意識が共有されていないし、そもそも生成AIの仕組みを知っている記者はどれくらいいるのか。

倫理の問題も少なくない。例えば、最近の若者は何かを探す際にグーグル検索エンジンよりチャットGPTに聞いて、回答をそのまま事実として受け入れてしまう傾向が強い。非常に危険だ。

生成AIでは情報源が分からないこともあるし、信憑性も不明。しかも多くの生成AIは最近の情報をまだ学習しておらず、データが古い。


検索エンジンなら情報源は自分で決めるし、信頼性が高い複数の情報源を比べることも可能だ。残念なことに、若者に生成AIの使い方や問題点を説明する機会は足りていないが、誰も「検索エンジンの代わりに生成AI」という傾向をストップさせない。むしろ企業などは推進している。

3月初めに日本のAI専門家に取材し、生成AI規制の必要性について話をした。EUは複数のリスクを想定してランク分けし、わりと厳しいルールを決めているが、日本の考え方は違う。

リスクは予見できないのでリスクが表れた際に国が速やかに対策を取ればいいとその大学教授は説明した。

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