コラム

日本は時代遅れの「世帯主」制度をそろそろやめては?

2020年06月10日(水)18時45分
西村カリン(ジャーナリスト)

別に私は世帯主になりたいわけではないが、利便性や夫婦平等の観点からすると、親子がいる世帯では親2人とも世帯主(いや、世帯代表)に認められれば今の時代に合うと思う。何か手続きをしないといけないが、1人目がすぐにできない場合は2人目がやればいい。

今回の特別定額給付金については、ツイッターでも「#世帯主ではなく個人に給付して」というハッシュタグ付きの投稿が多かった。これは「世帯主」の存在への抗議ではなく、世帯主の口座へまとめて振り込む給付方法や、世帯全員分の給付金を自分のものとする世帯主に抗議するものだった。私はフェミニストの戦いの全てにくみするわけでは全くない。ただ、この世帯主の件は夫婦別姓の問題より気になっている。

多くの日本人女性と異なり外国人の私は、夫の姓に変えたことで日常的にメリットが多い。例えば、子供と同じ名前だから、学校での手続きも簡単にできる。同姓は結婚したことと、「一族」のシンボルでもあるような気がする。

いつか日本で夫婦別姓が認められたとしても、「世帯主」の制度が変わらない限りは、半分だけの勝利だと思う。夫婦同姓、夫婦共同世帯代表といった制度のほうが、結局は平等なのではないか。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。

<本誌2020年6月9日号掲載>

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