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葬儀に来る「派遣僧侶」は、派遣会社に営業電話を半ば強制され、5割の紹介料を取られている

2026年2月22日(日)09時35分
印南敦史 (作家、書評家)

今日の仕事はこの1件、今月の葬式はわずか3件

ただし、他にも寺の維持費や改修費、墓地の管理費、袈裟などの衣服費、線香やロウソクを含む経費もかかるため、「坊主丸儲け」とはいかないようだ。

しかも、著者が住職になった当時の東法院の檀家は30軒ほど。上記の計算に当てはめれば、葬儀が年間1.5軒45万円、法要で60万円、護持会費で30万円で総計135万円にしかならない。

著者は離婚歴のあるシングルだが、たとえ一人でも食べていけない金額である。そのため住職就任からほどなくして配送業のアルバイトを始めるが、そのままではなんの見通しも立たない。

そこで活動拠点を東京に移し、僧侶派遣会社に連絡を入れて業務提携契約を結んだのである。派遣僧侶としての業務がこうしてスタートしたわけだが、以下のように日常は驚くほど質素だ。


 おおよそ1時間ほどかけて式を執り行なうと火葬場に移動し、火葬炉前で最後の読経。喪主にあいさつして火葬場をあとにする。
 時計の針は午後1時を回ったところだ。斎場近くで食事をしていて、葬家の誰かとバッタリなどというわけにはいかないので、クルマで15分ほど移動し、目についたファミリーレストランで昼食をとる。きのことホウレンソウのクリームパスタ850円。手元のタブレットで注文し、ドリンクバーとスープを付けようか迷ってやめる。
 今日の仕事はこの1件。月も終わりだというのに、今月引き受けた葬式はわずか3件。フトコロ事情はなかなか厳しく、贅沢はできない。(14〜15ページより)

とはいえ、節制すればなんとかなるわけでもなさそうだ。葬儀業界にはいろいろ問題があるようで、なかでも驚かされたのは派遣会社のやりくちである。

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