最新記事
トランプ関税

トランプ関税で「工場移転」が加速――米中に挟まれた東アジア、日韓連携は突破口になるか

THE HOLLOWING OUT OF EAST ASIAN INDUSTRY

2026年1月13日(火)15時24分
李根 (イ・グン、ソウル大学特別名誉教授〔経済学〕)
テキサス州に建設中のサムスン半導体工場

サムスンがテキサス州に建設中の半導体工場 BRANDON BELL/GETTY IMAGES

<関税の波は、まだ引く気配がない。米中対立の余波が、東アジアの産業地図を塗り替えつつある>

東アジアの貿易と投資の形、より広く言えばグローバルなバリューチェーンの構造は、主にアメリカの関税政策によって根本的に変化した。

トランプ米大統領は1期目の任期中に中国に高関税を課したが、それ以外の国にはほとんど手を出さなかった。結果、日本や韓国など東アジアの企業はサプライチェーンを中国から東南アジアや中南米に移転させ、一部は国内回帰も進めた。


続くバイデン政権もトランプの対中関税をほぼ維持し、独自の関税も導入。2022年には、半導体や電気自動車(EV)といった環境・ハイテク製品の国内生産に多額の補助金や税制優遇を与える法案を成立させた。

これにより東アジア企業は対米投資を拡大。23年には韓国が、米国内のプロジェクトへの投資額で台湾を抜いて最大となった。

トランプの大統領再任はほとんどの国に対米輸出関税の大幅な上昇をもたらし、このプロセスを加速させた。大抵の東南アジア諸国は、日本や韓国(15%)よりも高い関税(約19%)を課されている。

これは日韓の企業がアメリカでの生産を増やす動機となる。韓国の現代自動車はジョージア州の工場で操業を拡大し、サムスンはテキサス州に半導体のファウンドリ(受託製造工場)を建設中。50%の関税に直面した鉄鋼大手ポスコは現代製鉄と合弁で、ルイジアナ州に製鉄所を建設すると発表した。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、制裁全面解除ならウラン濃縮度引き下げ検討=

ワールド

香港紙創業者に懲役20年、国安法裁判 国際社会は強

ワールド

仏中銀総裁、6月に前倒し退任 ECB理事会のハト派

ワールド

英首相、辞任要求にも続投示唆 任命問題で政権基盤揺
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中