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諏訪理宇宙飛行士、50歳の宇宙初飛行へ──27年頃のISS滞在が決定 「月・火星探査時代にどうつなげていくか意識」

2026年1月9日(金)22時15分
茜 灯里 (作家・科学ジャーナリスト)

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JAXA有人宇宙技術部門宇宙飛行士運用技術ユニット長の久留靖史さん(左)と諏訪さん(1月9日、千代田区) 筆者撮影

同席したJAXA有人宇宙技術部門宇宙飛行士運用技術ユニット長の久留靖史さんは、「諏訪さんは訓練の進行状況が良好であったため、今回、国際調整をしたうえでISS滞在者に指名されました。宇宙飛行士に認定された頃(1年3カ月前)と比べると、もともとバイタリティがある人でしたが、訓練を積んだことで自信を持ち精悍さが増した印象です」

「25年9月にESA(欧州宇宙機関)が実施したCAVES(洞窟を用いた隔離された閉鎖極限空間での訓練)に諏訪さんが参加しました。その体験レポートでは諏訪さんの人となりが伺えますし、諏訪さんの感性にとても共感したので、ぜひ、多くの方に見てもらいたいです」と語った。

また、約50年ぶりの有人月面探査となるNASA(米航空宇宙局)が主導する「アルテミス計画」では、「日本人宇宙飛行士2名が月面に降り立つ」ことが日米政府間で正式に合意されている。26年2月には「アルテミス2」計画が行われ、4名の宇宙飛行士が月を周回する予定だ。これが成功すれば、人類が再び月面に着陸する「アルテミス3」計画に進行する。

久留さんが「現役のJAXA宇宙飛行士は全員、有人月探査クルーの候補」と話すなか、諏訪さんは「宇宙開発は団体戦。月に関しても(自分が行きたいというよりも)日本がこのミッションを成功させることに関心があります。団体戦に自分も貢献し、自分が現役のうちにJAXA宇宙飛行士が月面に立つその日を夢見て頑張りたいです」とにこやかに語った。

諏訪さんは1977年東京生まれ。小学5年生の時に少年向けのNASAツアーに参加してアポロ17号で月面を歩いたユージン・サーナン飛行士と面会し、宇宙飛行士という職業に興味を持ったという。1999年東京大学理学部地学科卒業後に渡米し、プリンストン大学大学院地球科学博士課程を修了。JICA青年海外協力隊の一員としてルワンダで活動後、世界気象機関や世界銀行での勤務を経て、23年2月に4127名の応募者の中から米田あゆさんとともにJAXAの宇宙飛行士候補者選抜試験に合格した。同年7月にJAXAに入構。約1年3カ月の基礎訓練後、24年10月に宇宙飛行士として正式に認定された。

weboriginak20210521baeki-profile2.jpg[筆者]
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版のウェブ連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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