高市首相は台湾有事巡る答弁で踏み込んだ...欧州に求められる日本支援のかたち
高市首相とスターマー英首相が南アフリカで会談(11月22日) LEON NEALーPOOLーREUTERS
<元デンマーク外交官のジョナス・パレロプレズナーは、高市首相の台湾有事発言と、一歩も引かない姿勢について、日本が中国の圧力に直面しながらも明確な立場を示したものだと評価する。本稿では、台湾をめぐる危機に及び腰な姿勢を続ける欧州に対し、日本をどのように支えるべきかを含め、いま何が求められているのかを解説する>
▼目次
中国「戦狼外交」は「お約束の手口」
欧州の指導者は「言行一致」を目指すべき
欧州が明確に示すべき「覚悟」
トランプ米大統領は抑止力になり得るが「信頼できない」
中国「戦狼外交」は「お約束の手口」
主要国の指導者が、ついに台湾をめぐる「公然の秘密」を口にした。2025年11月、日本の高市早苗首相が、中国が台湾を海上封鎖した場合、自衛隊が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得ると答弁した。
予想どおり、中国指導部はこの発言に猛反発し、対決姿勢をあらわにする「戦狼外交」を即座に発動させた。過去にも新型コロナの発生源に関する独立調査を中国に要求したオーストラリアや、台湾代表処を開設したリトアニア、中国の反体制派、劉暁波(リウ・シアオポー)がノーベル平和賞を受賞した際のノルウェーに用いてきた手口である。
基本戦略は単純だ。憤慨しているふりをして脅しと甘い言葉を繰り返し、中国の巨大市場を武器に「敵」を屈服させる。
日本に対しても、高市が越えてはならない「レッドライン」を越えたと主張し、中国人旅行者に日本への渡航自粛を要請。国内での日本映画の公開を中止させ、日本産水産物の輸入も停止した。
それでも、高市は一歩も引かなかった。彼女は台湾の民主主義と自治を守り抜くという明確かつ断固たる姿勢こそが、中国に対する抑止力になると理解しているのだ。





