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「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか

2025年11月16日(日)11時15分
印南敦史(作家、書評家)

面積、階数、照明、緑地率、工事施工...17項目


・建築物は1区画につき400㎡以上、一戸建てとし個人専用住宅とすること
・地階を除く階数は2以下とすること
・道路の角切り部分を自動車の出入り口としないこと
・屋外照明や街灯の設置については、直接光だけでなく、反射光による近隣への影響に十分に配慮すること。また、ネオンサインや光源の点滅、サーチライトやレーザー光線については禁止とする
・緑地率の最低限度は40%または30%とする(緑地面積10㎡につき、高木1本かつ、中木2本を植栽すること)
・工事施工時間は原則として日曜、休祭日を除く午前8時より午後5時迄とすること(26ページより)

これらは抜粋であり、実際には計17項目が定められている。規定に違反した場合、町内会会長は理事会の決定に基づいて工事施工の停止を請求することができる。

なお六麓荘に家を建てる場合、町内会に高額の入会賛助金を支払い、建築物の設計図などの提出も求められる。新居の建築前に、町内会の役員への相談というハードルが設定されているということだ。

小型の家の模型を事前に作製しておき、町内会の理事や近隣住民を集めて説明会を行わなければならないというのだから、制限や決まりごとの細やかさも含め、抵抗を感じる人もいるかもしれない。

だが、こうして地域住民が同じ気持ちでいるからこそ、町としての民度が保たれているのだろう。

ただし町内会の役員などを除けば、実は隣人との付き合いはあまりなく、一年のうちに一度も顔を合わせないこともあるようだ。

仲のよい住民同士でホームパーティやお茶会などを開催することがある一方、「昔から六麓荘は近所付き合いがなかった」という証言もあり、近所の人と会うとすれば犬の散歩程度。にもかかわらず「六麓荘らしさ」を共有できているのだとしたら、それは理想的なことではないだろうか。

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