「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
兵庫県芦屋市の住宅街(写真は本文と関係ありません)Ishikawa.t-shutterstock
<『誰も知らない「芦屋」の真実』著者が記す、関西屈指の高級住宅街の意外な一面と「押し寄せる変化」>

兵庫県の芦屋市といえば、われわれ一般人には想像もつかないほどの富豪が暮らす関西屈指の高級住宅地として有名だ。
とはいえ『誰も知らない「芦屋」の真実――最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』(加藤 慶・著、講談社+α新書)の著者が指摘するとおり、具体的にどんな街なのかを知る人は意外に少ない。
だからこそ興味深いのは、この地域の「あり方」だ。
ある住民からはこんな声が聞かれる。
「芦屋は市民が一丸となり、『文化都市』を自負して高級住宅街を維持しているところが、他の街との大きな違いです。大富豪数人だけの力では、真の高級住宅街とはならないのです」(「はじめに」より)
いい例が、JR芦屋駅から徒歩で約20分の急勾配の山手に位置する六麓荘(ろくろくそう)町。香港島の白人専用地区をモデルに、大阪の実業家である内藤為三郎らが「東洋一の立派な別荘地にしたい」との思いから造成した地域である。
入念な計画のもとで1928年に開発がスタートしたが、1000坪以上ある敷地面積の屋敷は次第に切り売りされ、土地が細分化されていった。
ここまでなら珍しい話でもないだろうが、六麓荘には特筆すべきポイントがある。「このままでは高級住宅街にふさわしくない狭い区割りとなってしまう」と危機感を抱いた町内会が、独自のルールを定めたのだ。
当時はメディアでも大きく取り上げられたが、2007年2月に芦屋市の六麓荘町と奥池南町で「芦屋市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」――いわゆる「豪邸条例」――が施行されたのである。






