タリバンに苦しむパキスタンが「自業自得」としか言えない理由
This Peace Won’t Last
REUTERS/Stringer パキスタンとの国境地帯を監視するタリバンの戦闘員(10月15日)
<最悪の武力衝突に何とか休止符が打たれたが、対立の根本原因は未解決。パキスタンの「裏表のある外交政策」の実態>
ここ数週間、パキスタンとアフガニスタンのタリバン暫定政権は、近年で最も深刻な武力衝突を繰り広げていた。10月18日にカタールとトルコの仲介で停戦に合意し、互いの領土を尊重することを確認。トルコのイスタンブールで再び協議を行う予定だ。
だが争いの根本原因は未解決で、緊張状態が続いている。パキスタンは、タリバンがパキスタンの過激派組織「パキスタン・タリバン運動(TTP)」を支援していると批判する。
アフガニスタンは、アメリカなど諸外国の軍が撤退した後の2021年半ばにタリバンが復権して以降、再びテロ組織の温床となっている。なかでも最も重要なのが、TTPの存在だ。
タリバンはTTPの戦闘員数百人をアフガニスタンに受け入れ、その戦闘能力を強化してきた。国連の報告によれば、TTPは米軍が撤退時に残していった推定70億ドル相当の兵器の一部も手に入れており、パキスタン国内での活動を活発化させている。
アフガニスタンからの脅威に対抗するために、パキスタンは抑止と処罰を柱とする戦略を取っている。数十万人規模の難民の強制送還や、アフガニスタンの輸送ルートの封鎖もその一環だ。
10月上旬にTTPがパキスタンの治安部隊を攻撃すると、状況は一気に緊迫した。一連の攻撃を受けて、パキスタンはアフガニスタンの首都カブールやカンダハルにあるTTPの拠点を攻撃。
その報復として、タリバンが約2600キロに及ぶ両国間の係争中の国境(デュアランド線)沿いにあるパキスタンの拠点を攻撃し、双方の軍と民間人に多数の死傷者が出た。
両国は10月15日に48時間の停戦で合意したが、パキスタンが17日夜に空爆を行ったことで戦闘は再燃。アフガニスタン側はこの空爆で同国のクリケット選手数人が死亡したと主張しているが、パキスタン側は民間人の犠牲を否定している。
裏表のある外交のツケ
この事態は、約30年にわたってタリバンをテロ組織として支援してきたパキスタンの自業自得と言えるだろう。
パキスタン政府は長年にわたり、裏表のある外交政策を取ってきた。表面上はテロに反対しながらも、実はタリバンをはじめとする過激派組織を利用して、宿敵インドをしのぐ影響力を手に入れようとしてきたのだ。
この政策のおかげで、タリバンは1990年代半ばから2001年の9.11米同時多発テロに至るまでアフガニスタンで権力を握り、その後も20年にわたってアメリカ主導の介入に抵抗できた。
そして2021年に権力の座に返り咲き、パキスタンにとっての脅威となった。過去の支援が完全に裏目に出た格好だ。
タリバン政権は打倒されるべきだが、それはパキスタンではなくアフガニスタン国民に委ねられるべき問題だ。これまで諸外国によるアフガニスタンへの介入は、いずれもうまくいっていない。
いま必要なのは、アフガニスタン国民が自らの未来を切り開けるように支援すること。アフガニスタン国内での抵抗と国際社会による圧力を組み合わせることで変革を促すのが、最も現実的な道だ。
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Amin Saikal, Adjunct Professor of Social Sciences, The University of Western Australia; Victoria University; Australian National University
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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