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日米関係

トランプ大統領6年ぶり来日...高市首相と「関係構築」の舞台裏とは?

2025年10月27日(月)12時36分

「高市氏と電話会談をしてもいい」と打診

トランプ氏の高市氏に対する「期待」は首相就任前から表れていた。日本政府関係者によると、高市氏が自民党総裁に選ばれた後の今月半ば、米国側から「トランプ氏が高市氏のために電話会談をしてもいいと言っている」と水面下で打診があったという。公明党の連立離脱などを受け、首相指名が確実とは言えない情勢だった高市氏をトランプ氏が後押ししようとしたわけだ。結局、高市氏側は石破茂首相(当時)周辺を刺激しないようトランプ氏の打診を断ったという。

高市氏が首相に就任し、トランプ氏来日に向けた準備は急ピッチで進んだ。別の政府関係者によると、政権幹部らが集った打ち合わせの場では、日本が米国から購入予定の米自動車大手フォード・モーターのピックアップトラック「Fー150」を迎賓館に展示してトランプ氏を歓迎することや昼食にステーキを出す案などが話し合われた。ステーキは2019年の前回来日時に安倍氏と食べたメニューでもある。


 

同関係者は「くだらない演出かもしれないが、機嫌を損ねると何を言い出すか分からないのがトランプ氏だ。喜んで帰っていただくために手を尽くす」とあけすけに語った。

専門家は防衛費、サハリン2、為替を懸念

日本政府内の「熱」とは裏腹に、市場の見方は冷静だ。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、米国が「日本に防衛費の増額を求める可能性が高い」とみる。高市氏は今年度補正予算で増額目標を前倒しで達成する方針を示しているが、「トランプ氏は防衛費を対GDP比3.5%まで増やせと言っている。今回の首脳会談で高市氏が3.5%を要求されるのが悪いシナリオだ」と指摘。「現在進行中の総額43兆円の防衛費でも財源問題が宙に浮いている状態だ。(3.5%を達成するための)10兆円の財源を国債発行で賄うならば、金融市場に大きな影響が出てしまう」と懸念する。

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