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アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一期目から対米依存を減らしてきた中国の勝利

White House in a Bind as Soybean Sales to China Plummet to Zero

2025年9月30日(火)16時57分
ヘヘス・メサ

「これは業界の非常事態だ」と、ケンタッキー州の農家でアメリカ大豆協会の会長を務めるケイレブ・ラグランドは言う。「我々はずっとトランプ大統領を支えてきた。今度は我々を支えてもらいたい」

かつてアメリカ産大豆の最大の輸出先だった中国は、第一次トランプ政権の時から保護主義を警戒し、大豆の調達先の多様化を進めてきた。米農務省によると2024年5月以降、アメリカからの輸入契約は1件も結んでいない。それでも2024年には、アメリカの大豆輸出総額245億ドルのうち、半分以上の125億ドルが中国向けだった。だがここ数カ月間の輸出実績はゼロが続いている。

大豆はアメリカの農産物輸出の14%を占め、金額ベースで最も重要な農産物だ。農家や貿易当局者は、中国市場を失うことは目先の収益を揺るがすだけでなく、中国需要を前提に構築してきたアメリカの農業システムそのものを脅かす、と警鐘を鳴らす。

「一カ国で中国に代われる市場はない」と、アイオワ州の農家で米国大豆輸出協会理事のロブ・エウォルトは言う。「現実的にならなければ」

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