NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大幅下落
ニューヨーク外為市場では、米労働省発表の週間新規失業保険申請件数が予想外に減少したことで、ドルが主要通貨に対して上向いた。年間ベースでは米連邦準備理事会(FRB)の利下げのほか、米国の財政懸念やトランプ政権の通商政策などに翻弄され、9%を超えて下落。下落率は2017年以来最大となった。(2025年 ロイター/Lee Jae-Won)
[ニューヨーク 31日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、米労働省発表の週間新規失業保険申請件数が予想外に減少したことで、ドルが主要通貨に対して上向いた。
年間ベースでは、ドルは米連邦準備理事会(FRB)の利下げのほか、米国の財政懸念やトランプ政権の通商政策などに翻弄され、9%を超えて下落。下落率は2017年以来最大となった。対照的に、ユーロは年初から13%を超えて上昇している。
今年ドルの重しになった要因は来年も続くとみられ、ドルの軟調基調が続けば、今年大きく上昇したユーロや英ポンドなどの他の主要通貨にも影響が及ぶ可能性がある。
こうした中、円 は年初からほぼ横ばいで推移。日銀が1月と今月の2回にわたり利上げを実施したにもかかわらず円相場は大きく反応せず、今年のドル安局面の恩恵を受けられなかった数少ない通貨となった。
米労働省がこの日に発表した12月27日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万6000件減の19万9000件。エコノミスト予想(22万件)に反し減少し、1カ月ぶりの低水準となった。
アネックス・ウェルス・マネジメント(ウィスコンシン州)のチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「新規失業保険申請件数は変動が激しく、特に年末年始はノイズも多いが、それでも労働市場の健全性を推し量る上で最良の指標であることに変わりはない」とし、「米国の労働市場が12月に改善に転じた可能性が年明けに判明すれば、FRBは当初の想定より長く現行の金利水準を維持できる」と述べた。
今年は、積極的な利下げを強く求めるトランプ政権による圧力でFRBの独立性が揺らいでいるとの懸念もドルの重しになった。トランプ大統領は、十分に利下げを行っていないとしてパウエルFRB議長をたびたび非難。来年5月に任期が切れるパウエル氏の後任を1月中に発表するとしているが、来年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメンバーの一部は利下げ継続に懐疑的な見方を表明。市場では現在、FRBは来年は合計0.50%ポイントの利下げを実施するとの見方が織り込まれている。
ドル/円 NY午後4時 156.63/156.64
始値 156.60
高値 156.99
安値 156.56
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1751/1.1753
始値 1.1746
高値 1.1759
安値 1.1721





