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「最後の手段」と呼ばれる薬も効かない...「悪夢の耐性菌」が急増中と米CDC警告、感染を防ぐには?

‘Nightmare Bacteria’ Surge in US Poses ‘Grave Danger’: Expert

2025年9月26日(金)16時15分
ベン・ケリー
バクテリアのイメージ

「悪夢のバクテリア」には抗生物質も意味をなさないようだ(画像はイメージ) ImageFlow-shutterstock

<アメリカではすでに、「悪夢のバクテリア」を保有する細菌による感染症が急増している>

「悪夢のバクテリア」と呼ばれるNDM遺伝子。アメリカでは現在、NDM遺伝子を持つ細菌に起因する感染症が大きく増加している。専門家は、これが公衆衛生にとって「深刻な脅威」だと警鐘を鳴らしている。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の科学者による新たな報告書によると、NDM遺伝子を保有する薬剤耐性菌による感染率は、2019年から2023年の間に約70%も増加したという。

【動画】アメリカで増えるNDM遺伝子を持つ薬剤耐性菌に起因する感染症


NDMは、「ニューデリー・メタロβラクタマーゼ」の略称。広範な抗生物質、特に「最後の手段」とされるカルバペネム系抗生物質に対しての薬剤耐性を細菌に付与してしまう酵素だ。

NDMを保有する菌株の治療は極めて困難だ。そのため、特に病院や長期療養施設といった健康状態が脆弱な患者が多い環境で、極めて高いリスクをもたらす。

CDCのデータによると、NDM遺伝子を保有する細菌に関連する感染症は全米で増加している。薬剤耐性を複数同時に有するケースも多いため、治療の選択肢は極めて限られてしまう。

多くの場合、これら細菌による感染症は、すでに入院している患者に発症するため、回復をより困難にし、死亡リスクを押し上げている。

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