最新記事
犯罪

チャットGPTがアジア詐欺組織に貢献していた? 監禁されていたケニア人が見た「AI悪用術」とは

2025年9月22日(月)07時45分
ケニア在住のダンカン・オキンドさん

ケニア在住のダンカン・オキンドさん(26、写真)は昨年、タイでのカスタマーサービスの仕事をあっせんされ現地に渡った。だが実際には、ミャンマーとタイとの国境付近の犯罪拠点で、犯罪組織が人工知能(AI)を使って大規模詐欺を働く現場を目の当たりにすることとなった。8月28日、ナイロビで撮影(2025年 ロイター/Thomas Mukoya)

ケニア在住のダンカン・オキンドさん(26)は昨年、タイでのカスタマーサービスの仕事をあっせんされ現地に渡った。だが実際には、ミャンマーとタイとの国境付近の無法地帯にある犯罪拠点に4カ月拘束され、犯罪組織が人工知能(AI)を使って大規模詐欺を働く現場を目の当たりにすることとなった。

家族を養うための仕事を見つけるのに苦労していたオキンドさんにとって、海外渡航は初めての経験だった。


タイの空港に到着するとすぐ、武装警備が敷かれ「戦争用に設計されたかのような」、KKパークと呼ばれる詐欺拠点に連れ去られた。ここは地域の典型的な犯罪拠点で、中国系ギャングが運営し、世界中の人々を標的とする構造になっていた。

連れて来られたオキンドさんら数百人は大部屋で、多くは対話型AI「チャットGPT」の無料版を使用し、米国人をだまして虚偽の仮想通貨投資を行うよう仕向けるメッセージを作成していたという。このような手口は、豚を太らせてから食用にするという意味の「ピッグバッチャリング」と呼ばれ、被害者からの信頼を巧みに積み上げた上で金銭をだまし取るやり方だ。

ロイターはオキンドさんの証言を全て独自に検証したわけではないが、拘束されたケニア人の救出に関わった人身売買撲滅団体「HAARTケニア」の担当者は、オキンドさんが今年初めに詐欺拠点から解放された複数のケニア人に含まれていたことを確認している。オキンドさんの話の概要は、強制労働をさせられていた十数人の証言とも一致している。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、近くバランスシート拡大も 流動性対応で=N

ビジネス

再送-TOPIX採用企業は今期6.6%減益予想、先

ワールド

焦点:シリア暫定大統領、反体制派から文民政府への脱

ワールド

台湾輸出、10月はAI好調で約16年ぶり大幅増 対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中