大学専攻は文系より理系がお得? 女性では年収中央値に大きな差が
もう一つの関心は、運動部を経験したほうがいいのか、ということだ。大企業は好んで体育系の学生を採りたがると聞く。スポーツで鍛え上げた体力、協調性、上下関係を重んじる心......。こういう資質を評価してのことか。実際のところ、年収にも違いがあるようだ。<図2>は、大卒男性を運動部経験群とその他の群に分け、年収の中央値を計算した結果をグラフにしたものだ。

同じ大卒の男性でも、運動部経験群はそうでない群よりも年収中央値が高い。その差は加齢とともに広がり、40~54歳だと100万円以上の差になる。管理職への出世のスピードも違う、ということか。
こういう現実には、一抹の不安もある。苛烈なしごき、いびり、先輩への服従などを経験させるブラック部活は、ブラック労働を厭わないメンタルを植え付ける「隠れたカリキュラム」でもある。企業で求められるのはこういう資質なのか、という思いだ。
現在、学校の部活動は改革の只中だ。徐々に地域活動に移行させていくことに加え、勝利至上主義のしごきを改め、節度のある活動にする方針が示されている(スポーツ庁『部活動ガイドライン』2022年)。こうした改革が、企業社会にも波及することが望まれる。





