最新記事
キャリア

大学専攻は文系より理系がお得? 女性では年収中央値に大きな差が

2025年9月10日(水)10時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

もう一つの関心は、運動部を経験したほうがいいのか、ということだ。大企業は好んで体育系の学生を採りたがると聞く。スポーツで鍛え上げた体力、協調性、上下関係を重んじる心......。こういう資質を評価してのことか。実際のところ、年収にも違いがあるようだ。<図2>は、大卒男性を運動部経験群とその他の群に分け、年収の中央値を計算した結果をグラフにしたものだ。

newsweekjp20250910003530.png


同じ大卒の男性でも、運動部経験群はそうでない群よりも年収中央値が高い。その差は加齢とともに広がり、40~54歳だと100万円以上の差になる。管理職への出世のスピードも違う、ということか。

こういう現実には、一抹の不安もある。苛烈なしごき、いびり、先輩への服従などを経験させるブラック部活は、ブラック労働を厭わないメンタルを植え付ける「隠れたカリキュラム」でもある。企業で求められるのはこういう資質なのか、という思いだ。

現在、学校の部活動は改革の只中だ。徐々に地域活動に移行させていくことに加え、勝利至上主義のしごきを改め、節度のある活動にする方針が示されている(スポーツ庁『部活動ガイドライン』2022年)。こうした改革が、企業社会にも波及することが望まれる。

<資料>
国立青少年教育振興機構『子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査』(2013年)の個票

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ安全保障に欧州主導の平和維持部隊 10カ

ビジネス

米ボストン連銀総裁、FRB利下げ支持も「ぎりぎりの

ビジネス

米NY連銀総裁「FRBは今後の対応態勢整う」、来年

ビジネス

カナダCPI、11月は2.2%上昇で横ばい コアイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中