「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給与は「最低賃金の3分の1」以下、未払いも
EXPLOITED ABROAD
「一部の農場主は、ワーホリ労働者をただの労働力としてぼろ雑巾のように扱っていると思う。それでも20代前半の子とかは、車もお金もないから動けないという感じだった」。車を持っていた伊勢は3週間で農場を後にした。
伊勢によると、複数の日本人がこのような歩合制の求人をフェイスブックに投稿しているという。筆者は、コフスハーバー周辺の農場の人員募集を日本語で投稿していた3人に労働条件などを問い合わせた。
彼らは歩合制のメリットとして、業務成績が振るわない労働者もクビにならずに自分のペースで働けて、ビザ取得のための88日間の要件を最短で満たせる点を強調した。
「悪徳ファームもあるようだ」と伝えると、「悪徳という言い方は好きじゃないですね。何を『悪徳』と呼ぶかは人それぞれ」と、電話越しに口調を荒らげる仲介人もいた。
オーストラリアにはスーパーアニュエーションという確定拠出型年金制度がある。雇用主は、従業員が一時滞在者であっても、賃金の約12%を上乗せして従業員の年金口座に拠出する義務がある。
だが、年金の支払いがない農場も少なくない。先ほどの仲介人のうち2人は、紹介する農場で働くデメリットとして「年金の支払いがないこと」を挙げた。
ビザ申請に必要になる正式な給与明細書には年金の額を記入する欄がある点を伝えると、「(そこには)一応ダミーの金額が記載されている」と回答があった。