「戦争の終わり」と「核の時代」の始まり──Newsweekが記録した1945年8月の「日本敗北」【note限定公開記事】
Grave Problems Loom

焼け野原と化した東京 GALERIE BILDERWELT/GETTY IMAGES (TOKYO)
<1945年8月、日本の降伏により第二次世界大戦は終結した。しかし、それは真の平和の始まりではなく、新たな恐怖――核の時代の幕開けでもあった>
日本のポツダム宣言受諾と第2次大戦の終結を、本誌米国版1945年8月20日号は歓喜を持って報じた。
さらにその後の数週間にわたって特集を組み、日本がどのように敗戦を受け入れたかを詳細に伝えた。
同時に、戦争の最終局面で原爆が実際に使用されたこと、その被害の深刻さへの恐怖も伝えている。核開発競争時代の到来を感じさせたからだ。
平和には重大な問題が潜む
「平和」。世界は理解できるかどうかも分からないその言葉を待って、待って、待ち続けた。マニラからパリまで、人々は連日祝い続けた。時に危険なほど激しく、まるで叫ぶことで戦争の終結が早められるかのように。
たとえ世界が平和を理解していないとしても、長い年月によって戦争が何かはよく分かっていた。
中国にとって、戦争は国家が消滅しかねない拷問の8年だった。イギリスにとっては、ドイツに苦しめられた末の勝利だった。ロシアは戦争と真正面に向き合い、恐ろしい代償を払わされた。
そしてアメリカは、沖縄からベルギーまで立ち並ぶ墓標、膨大な戦死者で戦争の意味を知った。
米東部時間8月14日午前1時49分、東京のラジオ放送は、同盟通信の速報として「天皇のポツダム宣言受諾」を報じた。日本側の返信は全文が暗号で送られ、ハリー・トルーマン大統領、ジェームズ・バーンズ国務長官、その他の政府高官らが戦争終結を確かめるために集まった。
返信を読む前から、真珠湾で始まったこの大きな試練が、アメリカの圧倒的勝利で終わったことに、誰しもが疑いを持たなかった。
世界中で勝利を祝う人々もそれは分かっていた。しかし、その歓喜の中には、ヒステリーじみた感情があった。破壊には飽き飽きしていた世界でさえ、戦争の最終局面で原爆が使われたことに衝撃を受けていた。
(原爆の)ほんの一瞬で、膨大な数の人々が塵になったことは想像を超える恐怖だった。人々がこう言うのも無理はないだろう。「次の犠牲者は誰なのか?」
長崎を焼いた地獄の炎
(ニューズウィーク戦争特派員ロバート・シャプレンは、米軍機の爆撃任務に同行して長崎への原爆投下を目撃し、以下の報告を送った)
われわれは(沖縄の)伊江島から日没と同時に離陸した。飛行士のフレッド・ミュラー(22歳)は、12発の500㍀爆弾を積んだ重い機体が離陸して海上に出ると、ニヤリと笑ってみせた。エンジンの爆音の中でミュラーは「この機体、年寄りだけどいい娘だ」と叫んだ。
長崎に原爆が投下されることを知らなかったのは、われわれにとってむしろ良かったのかもしれない。それを目撃した驚きは大きかった。午前10時30分頃、われわれはそれを見た。最初は100マイルほど離れた地平線に、細く白い線として現れた。まるで幻想的な夜明け前の光のように。
近づくにつれ、その線は太く、激しくなっていった。それはもう白ではなく、赤く、まるで感光スクリーンの上でのたうち回る熱い電光のように、うごめいていた。
ミュラーは巨大な機体を炎へと近づけた。近づくにつれて、その規模が分かるようになった。赤とオレンジの炎が巨大な舌のように空へと燃え上がり、キノコのように一帯を覆う白い煙をつかもうとしていた。
われわれは海岸に沿って丘陵地帯の尾根の近くを飛行した。炎は今や東側一面に広がり、少なくとも 10平方マイル(約26平方㌔)の範囲に広がっている。丘を越えて広がる炎はまるで火山の噴火のようだ。火山の頂上が噴き飛ばされ、麓から溶岩が湧き立っているように見える。
任務から戻る途上、われわれは再び長崎の地獄の炎を見た。まるで日本の将軍がハラキリをするように、それは日本の国土をむしばんでいた。長崎に2発目の原爆が投下されたことをわれわれが正式に知ったのは、伊江島に帰還した後のことだった。
敗北を日本人はどう受け止めたか
(上記シャプレン特派員は、同年9月17日号の掲載記事で、日系米兵の通訳を介して日本の市民が敗戦をどう受け止めたかインタビューした)
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【note限定公開記事】「戦争の終わり」と「核の時代」の始まり──Newsweekが記録した1945年8月の「日本敗北」
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