13歳も72歳も「スマホで人生が終わる」...オンラインカジノに沈むフィリピンの現場最前線

2011年にフィリピンのギャンブル依存症患者支援団体を立ち上げたリーガン・プラフェローサさんは、自身もかつて依存症に苦しみ、人生を棒に振る寸前だった。写真は、フィリピン・パサイ市のカジノ。2015年3月撮影(2025年 ロイター/Erik De Castro)
2011年にフィリピンのギャンブル依存症患者支援団体を立ち上げたリーガン・プラフェローサさんは、自身もかつて依存症に苦しみ、人生を棒に振る寸前だった。
初めてギャンブルで勝った米ラスベガスや、その後にマニラで経験した「自分が大物になった気分」に夢中となったプラフェローサさんは、結局7年間で5000万ペソ(約1億2900万円)を失った。それから借金返済のために行った盗みの罪で刑務所に入り、リハビリ施設に移送されて更生に努力した過去を持つ。
「ギャンブルは感情の病気だ。それが導く先は刑務所、施設、死の3カ所しかない」という。
プラフェローサさんを含む5人が運営する団体は毎日のオンライン会議で300人を超える患者を支援。加入者は最年少が13歳、最年長は72歳に達する。
こうしたギャンブル依存症患者が急増し、より多くがオンラインカジノに吸引されている事態に議会やカトリック教会が懸念を深めている。オンラインカジノへの流れを助長しているのは、ソーシャルメディアとデジタルウォレット(電子財布)だ。
プラフェローサさんは「私が受けた相談の電話は普段の10倍になっている。以前は相談者のほとんどが男性だったが、今は母親や子どもも多い」と語った。
複数の議員はオンラインカジノについて、デジタルウォレットの利用禁止などの規制を設ける法案を提出した。オンラインカジノ全面禁止を望む声もある。