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「平和の国」がいま武装する理由──デンマーク首相フレデリクセン、激動の世界を語る【本誌独占インタビュー】

CAUGHT IN THE CROSSFIRE

2025年7月3日(木)15時26分
マシュー・トステビン(本誌シニアエディター)

目下の危機に対し、ヨーロッパに残された唯一の選択肢は防衛力の再構築だと、フレデリクセンは断言する。その理由は、アメリカを当てにできなくなったことではない。ヨーロッパが自衛のために十分に資源を投じてこなかったことだと言う。

これはトランプ政権の幹部らの主張に呼応する見方だ。ヨーロッパはアメリカの安全保障の傘の下に入ることで相応の負担を免れ、福祉国家を構築してきたが、その資金を防衛費に回すべきだというのだ。


「冷戦終結後、ヨーロッパの多くの国が防衛費を削減したのは間違いだった。この間違いを二度と犯さないと、全ての国が認めること。それが今、最も重要なことの1つではないか」と、フレデリクセンは問いかける。

「自分たちの国は自分たちで守り、自力でロシアを抑止しなければ。自力で守る気がないのに、誰かに守ってくれと頼むのは虫がよすぎる」

2022年にロシアがウクライナに本格的な侵攻を開始してから、デンマークはウクライナに対しGDP比で世界最大規模の支援を行ってきた。ロシアがこの戦争に勝てば「大惨事」になると、フレデリクセンはみている。

「これをウクライナだけの問題とみるのは、あまりに短絡的だ。私は一度もそう考えたことはない。いま最も高い代償を払っているのはウクライナだが、これはヨーロッパの問題であり、背景にはロシアの帝国主義的な野望がある」

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