最新記事
イスラエル

ネタニヤフ首相の国内評価一変か...イラン攻撃「成功」と塗り替わる中東の勢力

2025年6月26日(木)09時36分
ネタニヤフ首相

6月24日、イスラエルのネタニヤフ首相は数カ月にわたる政治的混乱と戦争、支持率の急落などに翻弄されてきたが、今回の対イラン攻撃の成功で国内での評価が塗り替えられる可能性が高いと見られている。イスラエル・レホボトで20日、代表撮影(2025年 ロイター)

イスラエルのネタニヤフ首相は数カ月にわたる政治的混乱と戦争、支持率の急落などに翻弄されてきたが、今回の対イラン攻撃の成功で国内での評価が塗り替えられる可能性が高いと見られている。

ネタニヤフ氏の命令で実行された12日間にわたる空爆作戦で、イスラエルはイラン国内の深部にある核施設を爆撃。イランの主だった軍司令官や科学者を多数殺害し、複数のミサイル施設を狙い撃ちした。


 

両国は24日に停戦に合意。その直後は互いに相手が合意に違反したと非難の応酬を繰り広げたものの、ネタニヤフ氏は即座に「完全勝利」を宣言し、イスラエル政府は「わが国は歴史的偉業を達成し、世界の超大国と肩を並べる存在となった」とする声明を出した。

声明の高揚したトーンは、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃当時と対照的だ。ハマスの奇襲はイスラエル史上最悪の安全保障上の失態となり、ネタニヤフ氏は綿密に築き上げてきた国家の守護者としてのイメージが打ち砕かれ、支持率が急落した。

ヘブライ大学の政治学者、ガイル・タルシール博士はネタニヤフの最近の発言について「(23年)10月7日は跡形もない。彼の関心は今やイランで占められている」と話す。

しかしガザにおける対ハマス戦は今も続き、23年の失態を思い起こさせる要因となっている。そのためネタニヤフ氏には、ガザでの戦闘終結と、残る全人質の解放につながる合意を早急に成立させるように求める圧力が強まりそうだ。

今もガザで生存していると見られる約20人の人質の1人の母親であるエイナブ・ザンゴウケルさんは「全ての人質を取り戻す包括的な合意こそが、今まさに求められている」と訴える。「歴史の記録は今綴られており、その中にまだ埋まっていない章がある。それが『10月7日』だ。ネタニヤフ首相、それをどう書くかはあなた次第だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

東南アジアの洪水、死者241人に 救助・復旧活動急

ビジネス

独失業者数、11月は前月比1000人増 予想下回る

ビジネス

ユーロ圏の消費者インフレ期待、総じて安定 ECB調

ビジネス

アングル:日銀利上げ、織り込み進めば株価影響は限定
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中