ネタニヤフ首相の国内評価一変か...イラン攻撃「成功」と塗り替わる中東の勢力
塗り替わる中東の勢力
ガザを巡る問題が依然として影を落としているとはいえ、イラン攻撃による政治的な効果はすでに現れ始めている。先週発表された世論調査によるとユダヤ系イスラエル人の83%が対イラン攻撃を支持しており、長らく選挙での敗北が予想されていた、ネタニヤフ氏率いる与党「リクード」が今後は支持を伸ばすと見られている。
イスラエルはこの20カ月でめまぐるしく変化した中東地域における立場が、今回の対イラン攻撃で特に劇的な転換点を迎えたと受け止められている。イスラエル軍はこの間にレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラを著しく弱体化させ、ガザでハマスに大きな損害を与え、シリアの防空網を壊滅させた。そして今回、かつてはリスクが大きすぎると考えられていたイラン本土を直接攻撃するに至った。
しかもネタニヤフ氏はトランプ米大統領を説得して作戦に参加させ、米空軍しか保有していない地中貫通爆弾でイランの核施設を攻撃させることに成功した。これは長年にわたり米国にイラン空爆を働きかけ続けてきたものの、実現できなかったネタニヤフ氏にとって、まさに大きな外交的勝利だ。
ネタニヤフ氏の側近からは、2023年10月7日のハマスによる襲撃を「失敗」ではなく、「国家を目覚めさせた必要な警鐘」だったと捉えるよう求める声も出ている。ネタニヤフ氏と連立を組む右派政党の政治家、アリエ・デリ氏はテレビ番組で「10月7日はイスラエル国民を救ったのだ」と主張した。
ガザ戦争終結への圧力
ネタニヤフ氏は今後、ガザ戦争の終結に向けた交渉を進めるよう圧力を受けるだろう。野党などはネタニヤフ氏が政治的責任を問われるのを避けるために戦争を長引かせていると非難してきた。こうした先延ばしはもう許されないという声が高まっている。