日本人が知らない台湾政治の激震...リコールを求められた側がリコールを求め返す泥沼状態に
Taiwan’s One-sided “Great Recall”
リコール運動にまつわる一連の失態を受けて、国民党の朱立倫(チュー・リールン)主席(党首)に対する批判が高まっている。それでも朱と国民党は、民進党が台湾で「緑の共産主義」を展開しているというレトリックを強め、二大政党の根深い対立を際立たせている。
その一方で、国民党が署名集めに絡んでこのような問題に直面している理由は、依然として明確ではない。国民党は伝統的に草の根レベルの動員力を強みとしていたが、現在は地方での動員力が大幅に弱体化しているようにみえる。
総統リコールの動きも
その点を補うため、国民党は国民投票の実施を何度も呼びかけてきた。同党には18年の選挙で、国民投票をうまく利用した前例がある。
国民党が提起している国民投票のテーマは多岐にわたる。例えば最近40年間の運転期間を終えた馬鞍山原発の運転再開、死刑制度反対の是非、そして「民進党が導入した」と国民党側が主張する戒厳令の禁止などがある。
さらに国民党は5月に、頼総統のリコールも呼びかけた。これは政治的パフォーマンスの意味合いが強いとみられる。立法院で総統の罷免案を発議することはできるが、立法委員の3分の2の賛成で初めて成立し、その上で国民投票に諮るため、今の国民党の議席数では無理だ。