最新記事
台湾政治

日本人が知らない台湾政治の激震...リコールを求められた側がリコールを求め返す泥沼状態に

Taiwan’s One-sided “Great Recall”

2025年6月24日(火)16時25分
ブライアン・ヒュー(台湾在住ジャーナリスト)

そもそも民進党立法委員に対するリコールの要求自体が、国民党立法委員に対するものより少ない。国民党が民進党立法委員に対して行った署名運動では、必要な署名数に達していないとみられるケースも相次いだ。

一部には、国民党の党員名簿や住民登録のデータベースが不正利用されたり、署名数が水増しされるなどのケースもあった。こうした不正行為のため、各地域の国民党支部長が事情聴取に応じる事態にも発展した。


リコール騒動が奇妙な茶番と化した瞬間もあった。民進党立法委員団の呉思瑶(ウー・スーヤオ)幹事長に対するリコール運動では、署名が一切提出されないという珍事が発生した。運動の発起人が署名集めをするうちに、既に死去している自分の母親の署名が2度も名簿に記載されていることに気付き、運動から手を引いたことが原因だ。

「ひまわり運動」出身で民進党立法委員の呉沛憶(ウー・ペイイー)に対するリコール運動でも、発起人の母親が署名集めに関する不正を公に批判した。署名の偽造率は呉沛憶に対する文書で実に96%、呉思瑶に対する文書で94%に達したという。

さらに衝撃的なケースもある。民進党立法委員の李坤城(リー・クンチョン)に対するリコール運動の発起人の宋建樑(ソン・チエンリアン)が、署名偽造の疑いで地検に移送された際、ナチスの腕章を着け、ヒトラーの著書『我が闘争』を手に、ナチス式敬礼をしたのだ。署名偽造の調査を「民進党による政敵の迫害」として演出しようとする試みだったようだが、何とも的外れだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日本株の「ニューノーマル」、PER20倍

ビジネス

アマゾン、生鮮食品の当日配送サービス開始 インスタ

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック連日最高値、利下げ

ワールド

米、約10億ドルの資金提供を提案 重要鉱物や素材の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ「衝撃の物体」にSNS震撼、13歳の娘は答えを知っていた
  • 3
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 5
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 6
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 7
    トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 10
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中