最新記事
台湾政治

日本人が知らない台湾政治の激震...リコールを求められた側がリコールを求め返す泥沼状態に

Taiwan’s One-sided “Great Recall”

2025年6月24日(火)16時25分
ブライアン・ヒュー(台湾在住ジャーナリスト)

その後、国民党が政府予算を大幅に凍結・削減すると、リコールの動きが本格化し始めた。民進党の主張によれば、今回の措置は予算全体の34%に影響を及ぼすという。

米政府が台湾に防衛費の増額を求めるさなかに国民党が予算を削減した対象には、ドローン(無人機)の開発事業や自前の潜水艦製造計画、新兵募集の広報費などが含まれている。その一方で国民党は、長年の支持基盤である職業軍人の給与引き上げを求める姿勢は依然として貫いている。


ドナルド・トランプ米大統領の関税政策により、台湾経済に多大な影響が生じる可能性を受け、国民党は凍結していた経済支援補助金の予算枠の活用を提案。一方で電気料金の安定化を目的とした、公営電力会社である台湾電力への補助金凍結を主張している。

署名に2度も死者の名が

ここから国民党立法委員に対するリコール要求の嵐が始まった。特定の政治陣営に属する議員を対象にしたリコールが、これほどの広がりを見せた例はない。

国民党はこの動きを、民進党が仕組んだ「報復的リコール」だと非難している。しかし、現地で「大罷免(リコール)運動」と呼ばれる今回の大規模なリコール運動には、異例の状況がまだある。

民進党立法委員に対するリコールは、ほぼ全ての件で非成立となった。ところが、これまで国民党立法委員31人に対するリコール手続きは要件をクリアした。今の状況は「リコール合戦」と言われるが、実際には国民党が一方的に守勢に立たされている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、23日に日本訪問 石破首相と会談へ

ビジネス

ネクソン、7―9月期は減収減益予想 通期見通しは開

ワールド

ウクライナ大統領、トランプ氏との電話会談のためベル

ビジネス

日経平均は6日続伸、初の4万3000円台 米利下げ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...気になる1位は?
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 6
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 7
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.…
  • 10
    「古い火力発電所をデータセンターに転換」構想がWin…
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中