日本人が知らない台湾政治の激震...リコールを求められた側がリコールを求め返す泥沼状態に
Taiwan’s One-sided “Great Recall”
その後、国民党が政府予算を大幅に凍結・削減すると、リコールの動きが本格化し始めた。民進党の主張によれば、今回の措置は予算全体の34%に影響を及ぼすという。
米政府が台湾に防衛費の増額を求めるさなかに国民党が予算を削減した対象には、ドローン(無人機)の開発事業や自前の潜水艦製造計画、新兵募集の広報費などが含まれている。その一方で国民党は、長年の支持基盤である職業軍人の給与引き上げを求める姿勢は依然として貫いている。
ドナルド・トランプ米大統領の関税政策により、台湾経済に多大な影響が生じる可能性を受け、国民党は凍結していた経済支援補助金の予算枠の活用を提案。一方で電気料金の安定化を目的とした、公営電力会社である台湾電力への補助金凍結を主張している。
署名に2度も死者の名が
ここから国民党立法委員に対するリコール要求の嵐が始まった。特定の政治陣営に属する議員を対象にしたリコールが、これほどの広がりを見せた例はない。
国民党はこの動きを、民進党が仕組んだ「報復的リコール」だと非難している。しかし、現地で「大罷免(リコール)運動」と呼ばれる今回の大規模なリコール運動には、異例の状況がまだある。
民進党立法委員に対するリコールは、ほぼ全ての件で非成立となった。ところが、これまで国民党立法委員31人に対するリコール手続きは要件をクリアした。今の状況は「リコール合戦」と言われるが、実際には国民党が一方的に守勢に立たされている。