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「おひとり様」は損させられる...調査で判明、航空大手が「1人予約」の料金をサイレント値上げする理由

US Airlines Start Quietly Charging More for Solo Travelers

2025年6月3日(火)18時34分
ジーザス・メサ

この価格設定の手法は、直前に1人で出張を予約するビジネス客を狙ったものと見られている。航空会社は「運賃クラス」と呼ばれる価格ルールの異なる区分を使い、同じ座席を異なる価格で販売しているが、最近では一部の運賃クラスが「2名以上の予約」に限定されるようになってきた。

航空業界ブログ「View From the Wing」で執筆するマイレージ専門家のゲイリー・レフ氏によれば、このモデルを最初に導入したのはアメリカン航空で、社内では「P2(乗客2人)」と呼ばれていたという。

現在ではデルタ航空やユナイテッド航空も同様の仕組みを導入している。レフ氏が挙げた具体例では、ある片道のエコノミー便で1人分のチケットが422ドルだったのに対し、2人で予約すると1人あたり210ドルに下がっていた。

航空業界のアナリストによると、この戦略は極めて単純だという。1人で旅行する乗客はビジネス客である可能性が高く、企業の予算で航空券を購入するため、価格への感度が低いと見なされている。航空会社はこうした価格に鈍感な顧客を運賃ルールで狙い撃ちにしているというわけだ。

「これは、航空会社が顧客をさらに細かく区分けし続けるための新たな手段にすぎない」と、Thrifty Travelerのポッター氏は説明している。

実際、運賃ルールの文言もこの見解を裏付けている。ユナイテッド航空の予約システムでは、特定の割引運賃に「すべての区間で15歳以上の大人1人以上と同一クラスで同伴していること」という条件が付いている。これに対し、より高額な1人分のチケットにはこのような要件は存在しない。

この手法は従来の運賃構造とは大きく異なる。これまでは、最安値の座席が1席しか残っていない場合、グループで予約すると逆に高くつくことがあった。だが現在は、航空会社が2人以上の予約専用に割安な運賃クラスを設けることで、これまでの予約の常識を逆転させている。

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