トランプの法を無視した移民排斥を最高裁が容認...数十万人の一時保護が即座に剝奪、巨額の罰金も
Trump Ramps Up Attacks on the System
すると、今度はトランプ政権が最高裁に、シャドー・ドケットを用いた緊急の介入を要請した。政権の求める差し止め解除に反対したのは、リベラル派のケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事ただ1人。同じ時期に審理された別のシャドー・ドケット案件への反対意見の中で、彼女は次のように指摘した。
「実務的観点から見て、シャドー・ドケットを用いた緊急対応は、われわれの助けを本当に必要としている申請者のために温存するのが良識だ」
結局、最高裁は5月19日、ベネズエラ人移民のTPS剝奪というトランプ政権の方針を容認する判断を下した。理由に関する説明はなく、今後の訴訟の際の指針を下級審に提示することもなかった。
一方で、司法が政権にブレーキをかけるケースもある。「敵性外国人法」に基づく移民の国外追放をめぐり、最高裁は5月16日、差し止めの延長を命じた。トランプの掲げる移民の大量追放計画にとっては重大な打撃だ。
敵性外国人法は1798年に制定された戦時法だ。3月15日、トランプは連邦地裁の差し止め命令を無視して、この法律を適用。ベネズエラ人移民ら200人以上を根拠を示さないまま犯罪組織の一味と決め付け、エルサルバドルの収容施設に送還した。
翌4月、最高裁は地裁の差し止め命令を覆したが、同時に敵性外国人法に基づいて移民を国外追放する前には、適正手続きが必要だという点を全会一致で認定した。