最新記事
韓国大統領選

疑惑の大統領選候補、支持率は首位──李在明が映す韓国民主主義の矛盾

2025年5月12日(月)12時00分
佐々木和義

李在明候補の生い立ちと政治活動

李在明候補は1963年旧暦10月頃、5男4女の7番目として生まれた。正確な誕生日については困窮状態だったため母親が忘れてしまったという。小学校を卒業後、城南市(ソンナムし)の工場に勤務しながら勉学に励み、中卒と高卒の認定資格を取得して中央大学校法科大学に入学。大学卒業後、司法試験に合格し弁護士となって城南市立病院設立運動を主導するなど弁護士兼社会運動家として活動した。

2010年7月から2018年3月まで城南市長、2018年7月1日から2021年10月25日まで京畿道(キョンギド)知事を務めた。2022年には大統領選に出馬するも尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補に僅差で敗れた。同年6月、共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)国会議員の辞任に伴う補欠選挙に出馬して当選。2022年8月から2025年4月まで共に民主党の代表を務めた。

司法リスク─進行中の5つの裁判

今回の大統領選では、各種世論調査で圧倒的な支持率で他の候補をリードしている李在明候補だが、一方で先述のように現在5件の裁判が進行中の被告人の身である。

公職選挙法違反事件
2022年の大統領選挙に出馬した際、虚偽発言で選挙民を惑わしたとして公職選挙法違反に問われた。選挙直前、城南市大庄洞(テジャンドン)都市開発プロジェクトの不正疑惑が発覚すると、自ら「一生最大の業績」として誇ってきたプロジェクトへの関与を否定。プロジェクトの実務責任者に転嫁して「自分も騙された」と主張した。2024年11月15日、ソウル地裁が懲役1年・執行猶予2年の判決を下したが、2025年3月26日の控訴審判決で逆転無罪となり検察が上告、2025年5月1日に大法院からソウル高裁への差し戻しが言い渡された。

偽証教唆事件
公職選挙法違反の裁判において城南市長時代の随行秘書に虚偽の証言を強要した容疑である。2024年11月25日、ソウル地裁は偽証を行った元秘書に有罪判決を下す一方、李在明被告には無罪判決を下し、検察が控訴した。現在、控訴審が進行中である。

大庄洞関連開発疑惑
城南市長時代の大庄洞(テジャンドン)、慰礼(ウィレ)新都市、柏峴洞(ペクヒョンドン)の開発に絡む不正疑惑と地元プロサッカーチーム城南FCへの違法後援金に関する事件である。特定の民間業者に城南市や城南都市開発公社の内部情報を流して便宜を図った見返りに収益の一部を受け取った容疑で、元々は別々の事件だったが、現在は併合して裁判が進められている。

対北朝鮮送金事件
京畿道知事時代の2019年から2020年、当時副知事だった李華泳(イ・ファヨン)と共謀し、自身の訪朝費用や北朝鮮への支援名目で計800万ドル(約12億6千万円)を民間企業に支出させた容疑である。この事件も現在審理中だ。

法人カード私的利用疑惑
最も新たに発覚した事件である。水原(スウォン)地検は2024年11月19日、李在明候補を1億653万ウォン相当の業務上背任の罪で在宅起訴した。京畿道知事時代、道の公用車を妻の金恵京(キム・ヘギョン)氏の病院の行き帰りなどに使用させ、また食品などを道の法人カードで購入した疑いだ。この裁判は選挙期間中も延期されず進められる見通しである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏大統領府、トランプ氏の薬価巡る発言を「偽情報」と

ワールド

トランプ氏の平和評議会、サウジ・トルコ・エジプト・

ビジネス

トヨタ、降雪の影響で国内3工場3ラインの22日稼働

ワールド

インド経済の成長持続、需要回復で=中銀報告書
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中