米製造業を衰退させ対米投資を妨げるトランプ関税...最後に笑う「あの国」とは
CAN THE FACTORIES BE BROUGHT BACK?
とはいえ、関税自体はパズルの一部でしかない。韓国で製造業の基盤を築いた戦略におけるもう1つの重要な要素は、金利の抑制と製造業向けの低金利融資の割り当てだ。民間投資が確実に製造業に流れるようにしたのだ。
アメリカの場合、たとえ低金利を維持し、製造部門により多くの資金が流れるようにしたとしても、製造部門の長期的な競争力を確保するのは容易ではないだろう。だが韓国は閉鎖的ともいえる金融システムと、政府の厳しい監視下にある「財閥」が支配するビジネス環境を活用することによって、これを確保した。
家族企業である財閥は、長期的な視点を持つ傾向がある。韓国政府は、財閥が国内市場の保護によって得られた余剰利益を長期的な固定資本投資に充てるようにし、一方で金融部門にも長期的なアプローチを促した。これにより現代自動車のような大企業はその利益を、より安価で優れた自動車を国内市場向けに生産するための投資に振り向け、自国には高賃金の雇用を創出することができた。韓国の消費者は関税導入の初期段階では自動車価格の高騰に直面したが、時間がたつにつれて大きな恩恵を受けるようになったのだ。
しかし株主資本主義が支配するアメリカでは、企業の利益は株主に還元されることが多い。金融主導で短期的な思考を取りがちなアメリカの経済システムの中で、関税による保護によって企業にもたらされる余剰利益が製造業への長期的な投資につながるとは考えにくい。