最新記事
犯罪

オンライン詐欺被害総額は最大370億ドルに...東南アジアで広がる詐欺被害の裏で拡大する人身売買、撲滅対策とは?

2025年4月23日(水)20時03分
アグリッピナ(資金洗浄・汚職・サイバー犯罪専門家)
ソーシャルメディアは偽の求人広告と人身売買の温床になっている

ソーシャルメディアは偽の求人広告と人身売買の温床になっている EZRA ACAYAN/GETTY IMAGES

<東南アジアがデジタル犯罪、特にオンライン詐欺の温床となっている背景には、緩い規制、根深い汚職、そして国境管理の甘さに付け込む国際犯罪組織の存在が...>

インドネシアの首都ジャカルタの宿泊施設で、ヤンティは兄弟のワヒュから最後に受け取ったメッセージを読み返す。

「ママには言わないで。心配して病気になるといけないから。僕が負けないよう祈って」

ワヒュは韓国企業の安定した職に就けると誘われ、インドネシアを出国した。

だが、実際の行き先はミャンマーで、現地でオンライン詐欺への加担を強要されている。


珍しい話ではない。東南アジア各地では、顧客サービスや暗号資産(仮想通貨)取引の仕事をうたう偽の求人広告に騙された大勢の人々が、暴力による脅しにさらされながら、監禁状態で1日17時間の労働を強制されている。

オンライン詐欺の主な拠点はミャンマーやカンボジア、ラオスだ。フィリピンも同様で、タイは人身売買被害者の移送ハブになっている。被害者は「サイバー奴隷」として働かされ、ターゲットと信頼関係を築いて大金を巻き上げる「豚の屠殺」詐欺に従事させられている。

背景にあるのは、東南アジアで急速に拡大するデジタル化だ。さらに、脆弱な金融規制・監督体制や国際犯罪組織の存在が問題に拍車をかける。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、新たに遺体受け取り ラファ検問所近く開

ビジネス

米11月ISM非製造業指数、52.6とほぼ横ばい 

ビジネス

マイクロソフトがAI製品の成長目標引き下げとの報道

ワールド

「トランプ口座」は株主経済の始まり、民間拠出拡大に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 9
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中