ロサンゼルス山火事の原因は「気候変動」にあった?...予防対策に期待の「火災気候指数(FWI)」とは?

HIGH WIRE ACT

2025年4月16日(水)14時01分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

しかも、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームが22年に英オンライン学術誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)で発表した論文によると、電気設備の不具合などによる自然発火は気温が高く乾燥した状態で起きやすい。

「人為的な発火による火災は火の回りが早く、勢いを増すにつれより大きなエネルギーを放出し......より激しく暴れ回る」と、UCIのジェームズ・ランダーソン教授は論文発表時のプレスリリースで述べている。


「(山火事関連の訴訟では)『気候変動』という言葉をよく耳にする。電力会社が真っ先に持ち出す言葉の1つでもある」と、法律事務所ウィズナー・バウムのパートナー、アリ・フリードマンは言う。彼は過去10年近く、山火事の賠償請求訴訟を手がけてきた。

フリードマンは気候変動懐疑派ではない。その逆だ。気候変動で山火事のリスクが増すことは今や常識であり、だからこそ電力会社はそれを言い訳にできないと、彼は言う。

賠償費用を電気料金に上乗せ

18年の山火事で賠償責任を問われたPG&Eが経営破綻に追い込まれたことで、電力会社は対策を急ぐだろうと思っていたと、フリードマンは言う。だが、その後も火災が繰り返され、「対策はまだまだ不十分だと分かった。これをさらに教訓として、電力会社は責任を持って送電網の保全を進めてほしい」。

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