最新記事
地震

「ミャンマー被災者を見捨てるのか?」軍政拒否と支援のジレンマ

THE US MUST CHANGE COURSE ON MYANMAR

2025年4月15日(火)18時06分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)
「ミャンマー被災者を見捨てるのか?」軍政拒否と支援のジレンマ

被災したミャンマー第2の都市マンダレー(2025年4月8日)reuters

<軍政と限定的な関わりを持ち人道援助を行うこと。それにより人道危機の悪化を阻止でき、ミャンマー東部の特殊詐欺の拠点の取り締まり強化など治安の改善も後押しできる>

ミャンマー支援は待ったなしだ。この国は4年余り続く内戦に加え、マグニチュード7.7の大地震に襲われ、目を覆うばかりの人道危機に陥っている。軍事政権を率いるミンアウンフライン国軍司令官が国際社会に異例の支援要請をしたが、アメリカはその呼びかけにほとんど応じていない。

トランプ米大統領は口では被害の深刻さを認め、「助けるつもりだ」と約束したが、中国、ロシア、インドが即座に緊急援助を行う一方、アメリカの動きは驚くほど鈍い。

理由の1つは、トランプ政権が米国際開発庁(USAID)の人員を大幅に削減するなど国際援助プログラムを骨抜きにしたことだが、それ以上に重要な理由がある。ミャンマーの軍政に対するアメリカの懲罰的な政策だ。


2021年2月の軍事クーデターでミャンマーの文民政権が倒れて以来、アメリカはこの国に厳しい制裁を科してきた。

ジョー・バイデン前大統領は制裁で軍政を締め上げる一方で、軍政打倒を掲げる反政府勢力には殺傷兵器を除く軍事援助を続けてきた。トランプ政権も今のところ同様の路線を踏襲している。

今回の地震で最大の被害を受けたのは軍政の支配下にある地域だ。そのため米政府が軍政との関わりを拒否すれば最も援助を必要としている人々を見捨てることになる。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中