韓国の政治は、なぜ「大混乱」を繰り返すのか...大統領の「帝王的」権力が変わらない理由
KOREA’S IMPERIAL PRESIDENCY
国会は帝王の専横を抑える権限をほとんど持たず、国民は政治に失望。最大野党「共に民主党」は閣僚や検察幹部らに対する一連の弾劾訴追案を国会に提出した(これは立法府が行政府の暴走を抑えられる数少ない制度だ)。この動きに怒った尹は非常戒厳宣布の暴挙に出た。
野党が改憲を主張しない理由
こうした経緯から、大統領制とその統治システムを見直す憲法改正が叫ばれるようになったのは当然の流れだ。韓国ギャラップの3月の世論調査では、大統領の任期を4年にする案を支持する回答は64%に上った。
現行憲法では1期5年だが、これには2つの問題がある。有権者が現職にノーを突き付けたくても次の選挙まで長く待たされること。そして現職は2期目がないから次の選挙を気にせずやりたい放題やれることだ。
政治制度の改革については、さまざまな案が出されている。1つはイギリス式の議院内閣制だ。この制度の下では議会は内閣の信任・不信任を決議でき、不信任案が成立すれば、内閣は総辞職し選挙が行われる。
もう1つの案はフィンランド式の「半大統領制」だ。直接選挙で選ばれる大統領と議会が選出する首相が権限を分かち合う制度だが、現在のフィンランドでは大統領の権限はおおむね形式的なものとなっている。