欧州がトランプから「2000億ドル分の武器」を買えば解決?...ウクライナ支援を「美味しい取引」に持ち込む方法

Make a Deal!

2025年3月11日(火)12時00分
バート・シェフチェク(パリ政治学学院非常勤教授)

代わりにヨーロッパが、アメリカ並みの軍需品を製造・供与することは、当面不可能だ。地対空迎撃ミサイル「パトリオット」や長距離精密ロケット弾といった最先端兵器となると、なおさらだ。なにしろこの3年間、ヨーロッパは自らの防衛産業を強化することに大失敗してきた。

従ってアメリカの武器なしでは、ウクライナはもとより、ヨーロッパ自身の安全保障も危うい。現在協議されている、ウクライナに英仏軍などからなる平和維持部隊を派遣する案も、アメリカの武器支援が前提となっている。


ヨーロッパは豊かな国が多い。一部のEU加盟国にイギリスとノルウェーを加えた有志連合なら、アメリカの武器をウクライナに供与するために、計2000億ドルを拠出することは可能だろう。

どんな和平交渉が行われても、あるいは、どんな内容の停戦合意が結ばれても、ウクライナは今後長い間、大量の武器を必要とする。

ヨーロッパがアメリカから武器を調達することは、ヨーロッパの生産能力が拡大するまでの間、ウクライナの防衛力を支えるだろう。

その費用はEUが共同債券を発行するか、ハンガリーなど一部の加盟国が賛同しなければ「有志連合」として、集団的な金融力を活用して迅速に行動することができる。また、加盟国に個別に過剰な負担を強いることなく、ウクライナとヨーロッパの安全保障を確保するというEUの集団的な責任を明示できる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米民主重鎮ペロシ氏が政界引退へ、女性初の下院議長

ワールド

中国商務省報道官、EUとの貿易・投資協定交渉に前向

ワールド

米ユナイテッドとデルタ、7日の便の欠航開始 各20

ワールド

グリア米通商代表、スイスや中米諸国などと関税協議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 8
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中