欧州がトランプから「2000億ドル分の武器」を買えば解決?...ウクライナ支援を「美味しい取引」に持ち込む方法

Make a Deal!

2025年3月11日(火)12時00分
バート・シェフチェク(パリ政治学学院非常勤教授)

だがヨーロッパには、トランプ政権の暴走に待ったをかける強力な手段がある。

トランプは取引が大好きで、ヨーロッパはリッチな大陸だ。従ってヨーロッパは今すぐに、少なくとも2000億ドルを投じて、向こう4年間にウクライナに供給する武器をアメリカから調達する計画を提案するべきだ。


この措置は、ウクライナとヨーロッパ両方の安全保障を強化するとともに、アメリカの対EU貿易赤字を大幅に削減するという一石二鳥を期待できる。また、トランプ政権がウクライナに迫っている鉱物資源協定とは異なり、武器購入計画は、アメリカにすぐに現金収入をもたらす。

アメリカの武器は不可欠

ゼレンスキーが訪米時に語ったように、ウクライナにとって最も差し迫った問題は、軍事支援が見込めないなら、「アメリカから直接武器を購入できるか」だ。

EUのウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長の言葉を借りれば、ウクライナを「潜在的な侵略者がのみ込むことのできない鋼鉄のヤマアラシ」に変えるためには、アメリカの武器が不可欠だ。

ドイツのキール世界経済研究所によると、2022年1月以降、アメリカは対ウクライナ軍事支援の約半分の約690億ドルを負担してきた。その支援が停止されたなかで戦争が続けば、あるいは停戦後に再びロシアが攻撃に転じれば、ウクライナという国家の存続そのものが危うくなる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

政府、25・26年度の成長率見通し上方修正 政策効

ビジネス

フジHD、株式買い増しはTOBでと旧村上系から通知

ワールド

北京市、住宅購入規制さらに緩和 需要喚起へ

ビジネス

26年度の超長期国債17年ぶり水準に減額、10年債
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中