最新記事
荒川河畔の「原住民」(24)

7回の自殺未遂を経験しながら、若者の自殺を止めたホームレスの死生観

2025年3月5日(水)16時30分
文・写真:趙海成

想像してみてほしい。「一緒に死のう」と言われたら、若者はどういう反応をするだろうか。きっと驚いて、感謝の言葉よりも「それはだめだ、私が一人で死ぬんだ、あなたを巻き添えにしてはいけない」と、本能的に言うだろう。

最も可能性があるのは、2人が話し合った結果、「君も僕もどっちも死なないで、今は苦しいけれど、頑張って乗り越えて、いつか幸せを迎えよう」という結末ではないだろうか。

いつ死ぬかはわからない

とはいえ、現実世界には残酷で非情なことが多い。

征一郎さんは自分の将来の死について、次のような直感を持っている。

「自分が自殺する可能性のある要素をこれだけ挙げましたが、今後は自殺する確率は高くないと思っています。でも突発的な病気のために、自殺するまでもなく死んでしまう可能性は高い。

僕は最近、頭の上に硬い塊ができて、痛みを感じることがよくあります。脳血管の詰まりと関係があるかもしれない。

ある日、もしあなたが僕を見つけられなかったら、僕が急に逝ってしまったということを示しています。いつそうなってもおかしくありません」

手術はしない...死の宿命を受け入れる

征一郎さんの話を聞いて心配した私は、彼の症状についてインターネットで調べてみた。「頭にしこりができただけで、歩行は正常で、手足が動かないということがない場合、それは脳血管の詰まりによるものではなく、血管が破裂したことによるものかもしれない」という情報が見つかった。

私は征一郎さんにできるだけ早く病院に行って検査をするよう忠告したが、彼はあまり積極的ではなかった。何か心配があるようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中