「イプシロンS」爆発で壊れた試験設備の復旧はいつに? 試験失敗の原因究明も前進
また、試験前の検査データから、固体燃料と断熱材の間に一部の方向のみ長さ約65ミリの隙間があったことが新たに判明した。爆発との関連を調べている。
会見で井元隆行プロジェクトマネージャは「破断したと見られる金属部品は見つかっておらず、今後、部品が回収されると原因究明は一気に進むかもしれない。すべての手を尽くして探索し、追加の解析や試験も行って明らかにしていきたい」と話し、イプシロンSの打ち上げ時期の見通しについては明言を避けた。
イプシロンSロケット
JAXAとIHIエアロスペース(東京都)で共同開発した3段式小型固体燃料ロケット。大型液体燃料ロケット「H3」と固体ロケットブースター(SRB-3)を共通化することでコスト低減、打ち上げ頻度増加を図り、小型衛星打ち上げビジネス参入で国際競争力を高めようとしいる。
[筆者]
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師。東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第 24 回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版のウェブ連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)など。